じゅっちゅ‐juccu‐

山下 イナゴ

1‐洋館のコトバ

 私は、出会った。とある森、とある洋館の。とある人々の集会。そのなかに君はいた。

 心を壊した怪物のように皆は君を見ていたけど、ここの集会では君も少しばかり心地のよい顔をしていた。

「こんにちは」

 ヘルパーさんは君の新しい友達を喜んでいた。でも、実は私もヘルパーさんに負けない位嬉しかったのだ。君は、あまり言葉に応えない。だからヘルパーさんはいつも試行錯誤して君の声を持たない言葉をすくい上げ、代わりに伝えようとしていた。

「良ければ……」

ヘルパーさんは言葉を使うことすら、ままならない君の代わりに頬を赤らめ私に名刺をくれた。私はこう言う。「ありがとう。楽しい一時ひとときだった」

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じゅっちゅ‐juccu‐ 山下 イナゴ @17-56-175

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