揉む

今日も今日とて隣の部屋の壁は薄い。


「揉んで・・・ほしいな・・・」


肩だな。肩に決まってる。

良く知らないが、肩凝りは女子の方がひどいときもあるって聞くし、一般的に揉むところなんて方が一番の候補だろ。


「揉んでもらったら、おっきくなるって聞いたから・・・」


肩じゃねぇじゃん!!

肩大きくならねぇし、大きくする必要もないし!

え、じゃあどういうこと?揉んで大きくなるってつまり・・・。

いやいやいや、落ち着け、俺!早計だ、それは。

他にきっと抜け道がある筈だって!


「私・・・小さいからさ・・・いつか人前に出て見せるときに、こんなんじゃ恥かいちゃうなぁ、って思って・・・」


え、小さいのか?

ぱっと見た感じだけど、別に甲斐田ってそんなに言うほど小さくは・・・。

って!何言ってんだ、俺!変態かよ!


「そう?香羅って自分が思っているほど小さくはないよ?」


そうそう、別に俺はあれぐらいあれば十分・・・って、だから変態か、俺!!

しかも揉むってやっぱそういうことだよな、これ!?


「それにさ、これからたくさんの人に揉まれるんだから、いつの間にか大きくなるって」


おいおい、これ男が言ったら完全なセクハラじゃん。

いくら甲斐田と言っても、こんなこと言われたらムスってくるんじゃ・・・。


「そっか、だよね!いっぱい揉まれるよね!」


何で嬉しそうな声、あげてんの!?

え、嬉しいの!?揉まれてもいいの!?


「アタシもこれから揉んでやるからさ、覚悟しなよ!」

「な、何か怖いけど・・・お手柔らかにね・・・?」


ごくっ。

やっぱり俺は、気づいたら走って隣の部屋へ行く。


「お前らっ、昼間っから一体何やって・・・!」

「あ、戸稀!お前も揉んでやってくれよ、香羅のこと」

「はぁ!?」

「こいつさ、人間性が小さい、って悩んでるんだって。そんなことないのになぁ」

「・・・に、人間性・・・?」


俺はすぐに、スマホで『揉む』の意味を引いてみる。


今回のオチ

揉む・・・いろいろな経歴の人と出会い、さまざまな苦労や経験をして一人前らしくなること

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隣の教室の香羅ちゃんはいつも周りを戸惑わす 期待の新筐体 @arumakan66

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