第51話『出立』
「じゃあ二人とも、準備はいい?」
聖は先ほど戻ってきて荷物は腰に掛けている袋だけだった。
おそらくそれも今持たされている袋と同じく収納の魔法が掛かっているため、
どれだけ物を入れていても問題がないのだろう
そして2人は
「聖? ちょっといい?」
「俺たちで考えたんだけどさ、やっぱり助けてもらった恩を返そうと思って」
「それはもうすでに魔王討伐と言う名目で無にしてやってるけど? それ以外にもしたいってこと?」
「「うん」」
2人は頷いた。
そして聖は言った。
「何を考えているの?」
「いや、ただお礼を……」
「バレバレだよ、絶対に何かよからぬことを考えてるのが……何? 言ってみ」
と言って聖はもうすでに二人のことを把握していたようだ。
長谷川は仕方なく言った。
「えっと、この槍なんだけど……」
「ああ、さっきの女の子が持っていた槍か」
と言って槍を受け取った。
そして言った。
「なんだ、これを貰ってくれってこと? そして万が一それが見つかっても私の聖にして言い逃れるという作戦? 確かにその槍を持っていたら矛先は私に向きそうだね、いいよ」
とあっさり了承してくれた。
2人はポカンとして
「え、いいの?」
「うん」
「マジで? かなり危険かもしれないよ?」
と問題ないと言わんばかりの表情で聖は
「だって私不老不死だしあんたたちが死ぬよりもかなりマシな選択肢だと思うけど、それにここに置いていけば痕跡で私たちのことがバレかねないし、私が持っていた方が良いだろう」
と言った。
2人はそれを聞いて
((ああ、やっぱりこいつは賢いんだなあ……))
と改めて知らされた。
そして聖は言った。
「で、私がこれを持つ代わりに君たちは何をしてくれるのかな?」
「「え?」」
「何をしてくれるのかな?」
と念押しに二回聞いた。
2人は震えながら
「頑張って聖さんが魔王を倒せるように」
「サポートします」
と諦めたように言った。
聖は
「いや、それはあたりまえ、他には?」
とさらに要求してきた。
2人は
「えっと、私たちで手伝えることがあれば魔王退治以外でもお使いください」
「申し訳ありません、このようなことしか出来なくて」
と丁寧語で2人は聖の機嫌を取った。
聖は
「まあ、仕方ないな、いいぞ」
と他の目的もあったがもはやどうでもよさそうに言った。
「「ありがとうございます!」」
と2人はお礼をした。
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大都市デネブでは
「大変です! リン姫とメリアが殺されました!」
「「!!!!」」
2人の父親はグラスを落した。
パリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
鈍い音と共に2人な涙を流した。
「そんな、そんな……」
「和矢君は!」
「みじめにも血まみれで見るに堪えない姿に去れております!」
「!!」
「そんな……」
2人は和矢の強さを知っていた。
そして彼がそのための努力を怠らずに
そして、傲慢にもならずに冷静に判断する男だとも知っていた。
だからこそ2人は彼に娘を任せたのだ、
しかし、ここから近い町で
魔王が進行するとは思えない町で
アッサリと残虐にも殺された。
そして、家来は悲しそうな顔で
「これが……リン姫とメリア様の……亡骸です」
と言って運ばれてきたのはズタズタになった服と液体だった。
2人は愕然として涙を流して
そしてしばらく何も言えなかった。
最初に口を開いたのはメリアの父親だった。
「殺せ!! そいつは何だ! 魔王軍の手下か!」
と聞いた。
すると家来は
「どのような者たちか名前すらもうすでに抹消されていますが、そこにいる死刑囚が殺したとされています!」
と言った。
聖は研究室で2人が武器を選んでいる間に2人のそこにいた証拠をすべて消した。
そして、後がつかないようにした。
そして、抜け目なく自分は死んだことにしたんだった。
死体は自分が一度和矢にバラバラにされたので、体を再生させてバラバラの体をダミーにして自分が死んだことにしたのだ、
そして、自分が不老不死であることは最初に出逢った兵士が墓場まで内緒にして消したのである、つまり猛と長谷川が口を割らなければばれないのである
それを聞いてアレクは
「探せえええええエエエエエエエエエエエエエエ!! どんな手を使っても探し出してこの手で殺してやるウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
と唸った。
家来はビクつきながらも
「はいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
と言って王城から走って出た。
アレクは泣いていた。
するとメリアの父親は
「申し訳ございません!! 私の娘がいたのにもかかわらず! 姫君を守れず!」
「……お前も娘を失ったじゃないか、お前にもお前の娘にも罪はない……私に気にせず帰って良いぞ……私も少し……一人にさせてくれないか……」
と悔しそうに言った。
メリアの父は
「……分かりました……何かありましたら言ってください」
と言ってその場を立ち去った。
そして
「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ドゴン!
と言って見えないところまで行って壁を叩きつけて壊した。
そして
「メリア、敵は討ってやるからな……」
と涙をあふれさせながら言った。
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「やったぞ! やはりあのアマ死んだぞ! ベリクソ! これでこの国は絶対に私のモノになる!」
「はい坊ちゃま、まさか予想より早く死んでくれるとは」
「で、あのアマを殺したの、本当に分からないのか?」
ベリクソは
「申し訳ありません、痕跡が残っておらず、犯人はかなり知恵の持ち主かと……」
と言った。
するとデリクスは
「まあいい、後はあの女が私の女になれば完璧だ! もう少しで私の時代が来るぞ! はははははははははははは!!」
と高笑いした。
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聖は2人に言った。
「さあ! こういう時なんていうと思う!」
「「?」」
2人は首をかしげた。
そして猛は
「出発だ?」
と聞いた。
すると聖は
「走るポーズを」
と言って2人に走るポーズを取らせて聖もそのポーズを取った。
そして、
「俺たちの戦いはこれからだ!!」
と言った。
第二章へ続く
……俺Tueeeeも考えもんだな 糖来 入吐 @pura32
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