第50話『これからも』
猛は人を殺したという苦しみに苛まれていた。
最初は生き残るために必死になってはいたが、
町の現状と風景を見て思った。
自分が人を殺したという事実
そして、大量に溶けて死んでいる死体は全て自分と長谷川と聖が行ったテロ行為の
犠牲になった罪のない人々であること
そして、そこには未来ある子供までも巻き込むと
あまりにも残酷な現実が
そんな状態の猛に聖は
「まあまあ、確かに私たちは人殺しだ、しかしこのまま放置していたら君が死刑になったんだぞ? 魔王を倒したら不問にするような国じゃないんだよここは、それどころか他の国にも人殺しであることを知らしめて絶対に逃さないように手を打ってくるだろうな、だからこそこの行為は意味があるんだ、死にたくはないだろう?」
と猛に言った。
だが猛は
「でも、この人たちは大切な者を奪った人殺しを罰しようとしただけだろ、そしてそんな人殺しをタダで許すことが出来なかった、それであんなひどい拷問法を思いついて実行した、そして、それを聖さんに任せたんだよ、つまりあの人たちはただ許せぬ悪を裁こうとしたんだと思うんだけど……」
と顔を腕でふさぎながら言った。
聖は
「確かにそうだね、でもね、君だって神様に手加減無しに身体能力を上げられて力自体がどんなものか分からずにその力を使用してしまった、そして女の子に絡んでいた挙句止めようとした君に暴力を振るってきた、それを撃退しようと反撃したら相手が死んでしまったんだ、それって本当に君だけの責任か? 神にも責任があると思わないか? それなのにただ偉いってだけで神は裁かれることもない、嫌概念しかないからか、でもそれって理不尽だよな、君の聖ってわけじゃなくて神が遠慮なしに力を上げたのが原因なのに君にだけに罰を与えて神には罰を与えずに不問にする、なら君のやった事だって正当防衛と不慮の事故で不問にしてもいいはずだ」
それを聞いて猛は少し心が揺らいだ
そして。聖はそれを見て
「そう、それにチンピラが女に絡まなければこんな悲劇は生まなかったんだ、これはこの国の治安の問題もある、だから全部が全部君のせいじゃないんだよ……この状況を作ったのはこの国自身だ、きっといつかこうなっていた、分かるか?」
「……うん」
猛は少しずつ納得していった。
しかし、まだ完全に振りきれてはいなかった。
聖は
(まあ、子どもにはまだ受け入れるのは難しい問題だからな、これに関しては仕方ない、それに本人もある程度は受け入れる能力はあるようだ、これなら旅を続けても次第にこういう事態にも対応が出来る、この子はあの和矢とかいうバカと違って理解力も応用力もあるしあの絶望の監獄から逃げるための諦めない根性が備わってるからこのまま潰すのはもったいないな)
と考えた。
長谷川は
「なあ、猛、この問題に関して深く考えるのはやめないか? 確かに俺たちはとんでもない罪を犯した、しかしそれだと俺たちは死ぬことになる、今は生きることが出来たんだからまずはそれを喜ばないか?」
と猛が殺人に関して気がそれるような話題に持って行った。
それを聞いて猛は
「うん……確かに生き残れたのに喜ばないのは悪いな、ごめん、ありがとう、これからもよろしくね」
と微笑みながら長谷川を見た。
長谷川は
「ああ! 頑張ろうぜ!」
と言って手を持って引っ張った。
そして立ち上がって
「聖さん、ごめん、心配かけて」
「別に構わないよ、年上だしね、だがこれからしっかり働いてもらうからな!」
と言って指をっした。
猛と長谷川は
「「はあ」」
とため息を漏らした。
そして、3人は集めたものを見て
「さてと、これだけの物が集まりましたが、使える者は使って売れる物は売って金に換えますか?」
と聖に長谷川は提案をした。
それに関して聖は
「まあ、売れる先がそれを必要としているかが分からない以上は使える物は今ここで選んでおこう、それに私の研究室に言って他にも持っていきたいものがある、私がそっちに言ってる間に君たちが必要と思う物を先に取っておくといい」
そう言って聖は研究死にへと言った。
「って言ってますが、どうする? どの武器がいい?」
「ええっと、どれが一番使いやすいんだろうか?」
と言って色々と猛は見た。
それを見て長谷川は
「まあ、最初は冒険者向きの剣と立てでいいんじゃないか? 鎧来てもお前動けなかったら意味ないからな」
と言って長谷川は一般的な剣と一般的な盾を渡した。
猛は
「長谷川さんはどうするんですか?」
と聞いた
すると長谷川は
「さっき俺らと戦ってたメリアっていう奴のメリケンを使うよ、俺もこれ使ってたから手になじむよ」
と言って手にはめた。
サイズはちょっときつそうだった。
「うーん、やはりサイズが合わんと意味ないか……仕方ない、これを売り払って別のメリケンを使うかな……」
と言ってそれを袋の中に入れた。
するともう一つ槍があった。
「これはどうする? 結構王族が持ってそうなものだし売ったらなんかやばい気がするぞ」
「だけどここに置いてもいつかばれるんじゃ?」
2人は槍をどうするかを悩んだ。
その結果
「「聖に渡そう」」
という意見になった。
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