色々な秘密や伏線を、ものすごく手取り足取り回収してくれる訳ではない。
きっとそうだろう…と思うし、自分の解釈が間違っているのかな…と不安にもなる。
自分の読解力が足りないから、読み込めていないのかと自問自答。
結果、3度も4度も最初から最後まで読み直す。でも分からない。
敢えて書かれていない部分。敢えて明かされていない部分。
じれったい、もっと詳しく知りたい。
なのに、登場人物の過去や未来は多く語られない。
ものすごく、良い意味でジレンマが起きてしまう。
仕方ない。こうなったら、自分の中で「私流の続編」を想像するしかないか。
それにしても、中身も外身も”超絶なイケメン”に、ハートを鷲づかみされてしまった。
このイケメンを、この作品のみで終わらせるのが惜しい。
彼を主人公に、刑事ものとしてシリーズ化(映像化)されることを夢見てしまう。
昔、ルパン三世の漫画……モンキー・パンチ先生が『直接』書いたもの……に、そんな決闘があった。うろ覚えで恐縮だが、互いに拳銃とナイフを持ち、拳銃には一発しか弾丸が入っていない。そして、最初の一撃は必ずナイフから始めねばならない。
本作は、現在過去未来が絡み合う『ハジキとナイフ』だった。二人いる主人公が愛という名の決闘をかわす。男の繰り出すナイフは女の心をえぐりはしたが、女は男を撃たなかった。(比喩として)自分の頭を撃ち抜いた。男はさぞ呆然としたことだろう。
決闘の立会人は男の職務上の相棒で、この種のハードボイルド風恋愛譚には欠かせない三枚目だ。とてもいい味を出している。実のところ、彼がいなければ決闘もへったくれもなかったろう。
他、特に印象に残った場面としては、温泉と高級レストランがあった。愛の振り出しに和風、脂の乗った時分に洋風とは中々に渋いセンスだ。シメになるのは甘いデザートか、苦いシャンパンか。