四天王だけど、誰が最上階かでモメています

ちびまるフォイ

ぼくのかんがえたさいきょうのしてんのう

円卓を囲んで四天王たちは一同に会した。


「それでは、この"煉獄塔"における

 "ドキドキ!四天王順番決め☆"会議を行う」


「フフフ、僕ら四天王の登場順というわけか」

「塔に訪れた冒険者を返り討ちにする完璧な順番を決めるのね」

「ニンゲン、タオス」


「えーーでは、俺はまぁは4階ということで、

 あと1階から3階までの順番を決めてもらおうか」


「ベイベー! ちょっと待ちたまえよ!」

「そうよ! なんであんたが最上階に決まってるのよ!」


「いやいや、この中で一番クセがないというか

 リーダー的なのは一番俺だろう? そりゃ最後に戦わなきゃ」


「それは思い上がりだよ、ベイベー!」

「あんたが一番個性ないじゃない!」

「コセイ、ナイ」


「お前らみたいなイロモノが最後だったら、

 冒険者としても歯ごたえがないだろう!?

 最後の最後は正統派というか、そういう方がいいだろう!」


「そんなことノーセンキューだよ!」

「そうよ! そんなのあんたの価値観でしょ!」

「オモイコミ、ヨクナイ」


2段ベットのどちらで寝るかを決めるくらいのテンションだったのに

会議がこんなにもヒートアップするとは思っていなかった。


「それじゃ、俺以外で誰が4階を務めるんだよ」


「ボクに決まってるじゃないか、ベイビー」

「私ね」

「オレ」


「「「 あ゛? 」」」


再び四天王の視線の間で火花が飛び散る。


「あんたみたいに、語尾だけの個性付けされているような

 ザ・かませ役みたいな四天王に4階が務まるわけ無いでしょ!?」


「女が最後の四天王なんて聞いたこと無いよ!」


「あーー!! 今、差別した! 男女差別!! 最低ーー!

 ありますぅ~~! 最近の四天王は女性が最後ですぅ~~!」


「オレ、チカラアル、サイゴ、フサワシイ」


「ベイベー、四天王の最後になれば冒険者との掛け合いも必須。

 君のようにコミュニケーションに難ありまくりの奴に

 最後の4階を任せられるわけがないだろう!」


「あ、いえ、普通に話せますよ」


「話せるの!?」


四天王の思わぬ一面を垣間見れたものの、

会議は一向に着地点を見失ってしまい四天王は頭をかかえた。


「……じゃあ、ジャンケンで決める?」


「ベイベー、それはナンセンスだよ」


「そうよ。仮にジャンケンで順番を決めたとしたら、

 この塔のパワーバランスがおかしくなるじゃない」


「サイショ、ツヨク。サイゴ、ヨワク、ナル」


「その口調はキープするのね……」

「オレノコセイ」


パワーバランスという言葉を聞いた四天王のひとりがひらめいた。


「そうだよ! そういうことか!

 みんな! 四天王の順番決めで一番ふさわしい方法がわかった!」


「ベイベー、あっち向いてホイで決めるとかじゃないだろうね?」


「違う。結局、この塔は冒険者を返り討ちにするのが目的だろう。

 それを決めるならやっぱりコレしかない!」


四天王の一角は自分の力こぶをパンと叩いた。


「俺たち四天王で力比べをするしかないだろ!

 戦って、最後まで残ったやつが最上階だ!」


「ベイベー。それなら、1階から4階まで順番に強い四天王が配置できるね」


「まぁ、それしかないみたいね。いいわ、相手になってあげる」


「ソノタメノ、コブシ。オレ、テイコウスル、コブシデ」


「それじゃ行くぞ!! 誰が一番かここで決めてやる!!」


四天王たちは冒険者を確実に排除するための順番を、

もっとも原始的な方法で決めた。



 ・

 ・

 ・


やがて、その塔にまた1人の冒険者が訪れた。


「ここが今まで誰一人として攻略できなかった煉獄塔……。

 いったい、どれほど強大な敵がまっているんだ」


冒険者が塔の1階に足を踏み入れた時、四天王が現れた。


「ベイベー! 悪いがここは通さないよ!」

「私達四天王が相手になってあげる!」

「ニンゲン、タオス」


「いくぞ! 我ら、4人そろって――」



「「 四天王!! 」」



「4対1かよ!?」


おそろいの全身タイツに身を包んだ四天王は、

1階の段階で総力をもって冒険者を駆逐した。

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