短編とあなどるなかれ。長い長いお話を読み終わったような余韻があります。お話は純愛です。最初から最後まで二人しかいません。このインターネットの時代に、短歌だけをやり取りして心を繋ぐ。そんな二人だからこそ辿り着いたラストなのでしょう。どんなお話なのかはぜひ本編をご覧ください……ほろりと切ないラストがあなたを待っています。
短歌でのやり取りといえば、平安時代の男女のやり取りに似た雰囲気があるように思えました。どんなに時代がたっても、「恋文」という形の出会いは素敵だと思います。やがて、リアルで出会って、いろんな運命が襲いかかるでしょぅけど、幸せな日々を想像させられました。
私はまだ浅い書き専で、カクヨムの作品を複数読んではいましたが、正直レビューするほど面白いと思ったことはなく、勉強になるなぁくらいしか思えませんでした。しかし、このお話は書き方がさらりとしていてくどさがなく、それでいて顔も知らない相手への恋模様が歌を通じてひしひしと伝わってきました。先が読める展開ではありますが、歌の言葉が醸し出す切ない雰囲気がとても心に響きました。読後にあたたかい気持ちになる素敵なお話です。