侯爵家の次女マルゴ。そんな立場ともなると、ペンより重いものは持ったこともない、なんて言っても不思議じゃありません。なのにかけっこや球技が得意で体を動かすことが好きな彼女は、変わり者なのかもしれません。
そんな彼女が気になっているのは時々窓の外や庭に感じる、家族でも使用人でもない誰かの気配。
なんて書くと幽霊みたいなものを想像するかもしれませんが、違います。気配の正体は間者。隠密やスパイと言った方が分かりやすいかもしれません。そしてその中には、マルゴと同じくらいの年の男の子もいました。
その子が気になるマルゴですが、そんな好奇心はいつしか恋へと変わります。が、そこは貴族のお嬢様と間者。普通は結ばれるはずがありません。
ならばこれは、立場の違う二人の悲恋なのかと言うと、決してそうではありません。むしろそんな立場と言う大きな壁に向かって頑張るマルゴが、読む人に勇気をくれるような物語です。
立場が違う、身分が違う、そんなことはマルゴだって分かっています。だけどそれでも、好きになったこの思いに嘘はつきたくない。そんな一途さ、応援せずにはいられません。
例えどんな困難が壁となって立ちふさがっても、最後まで貫け、恋心!