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駅前に佇む映画館「シネマオーシャン」。人気を問わず新作はとりあえずやってると評判の映画館で、週末は賑わいをみせている。ここだけの「練乳キャラメル抹茶ポップコーン」なんてのもお目にかかれたりする。いったい誰が買うのか。なにをもって作ったのか。


3/24 17:04

平日の木曜夕方とあって、客入りはまばら。館内ロビーも閑散としている。そのうちの一人。肩まである髪を後ろで縛った、カジュアルな服装の男子大学生。名は 高山よつば(たかやま–) 。このお話におけるメインキャラの一人である。スマホ片手に誰かを待っている様子。と、そこへ。


「めんごめんごー!」


幼馴染の3人が現れる。男子1人に女子2人。


男の名は 御鷹 守(みたか まもる) 。無造作の茶髪にややくたびれた服。欠伸をしつつ登場。


変わって長髪の女子。黒を基調としたパンツスタイル。名を 佐藤 紫(さとう ゆかり) 。


最後は短髪女子の 中村 紗奈(なかむら さな) 。ラフな格好だが、いつものジャケットを羽織っている。


紫「なにか買った?」と尋ねる。

よつば「まだなにも」と手を広げて返す。


4人揃ってカウンターへと向かう。


紗奈「ほい」

フードメニューを皆に見せる。


4人の若者、沈黙の後。


「アイスコーヒー」

「ライスバーガー」

「練乳キャラメル抹茶ポップコーン」「ミルクティー」


十人十色である。むしろ四人四色。


そして店員さん。

「ただいまキャンペーン中でございます!こちらA〜D、全4種類のブロマイドのうち1枚差し上げております!今回のお客様方ですと、4枚お選びいただけます!」


4人の若者、再び沈黙。


やがて4人は一斉にDを指差した。


「それではこちらDのブロマイド4枚になります!」


そこは揃うのね。



上映時間まで30分。

御鷹 守は自分のポップコーンをよつばに預け、トイレに向かった。


預かった宝を見ながら紗奈は呟く。

「なんでこんなの頼んだの…」

「意外といけたりして」

「まさかでしょ…、一口貰うわ。……うま。」

「美味いんかい」


守がトイレに着くと、手を洗い終えた男性とすれ違った。金髪で年は20代前半。チャラチャラという言葉が相応しすぎる格好だった。しかし脂汗を流して、強張った顔。これから映画を楽しむようには見えなかった。


上映開始前のアナウンスが鳴る。

用を終えた守が戻ってきた。不思議なことにポップコーンが4つに増えていた。


「それ美味いよな」と守。


手元が潤沢になった4人は、2番スクリーンへと向かった。

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4番スクリーン殺人事件 羽矢瀬ユウマ @yumarb

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