4番スクリーン殺人事件

羽矢瀬ユウマ

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「さて。今宵この屋敷で起こった 山野一郎氏殺害事件 において最も不可解なのは、犯人の逃走経路です」


館の大広間に集まった数人の視線の先で、客人である御鷹 守(みたか まもる)はそう言い放った。


守「自室で殺された山野一郎氏。そしてその部屋には内側からしっかりと鍵がかかっていた。つまりこれは自殺に


??「見せかけた密室殺人」


御鷹 守の割と大事な台詞に割って入ったのは、同じく客人である高山 よつば 。


守「おい…今日は俺に任せんじゃなかっ


よつば「まぁまぁ、ちっとだけ!」

高山よつば、コホンと咳払い。


よつば「そう。これはどう見ても自殺にしか見えない。しかしこちらをご覧ください」


そう言って彼が掲げたのは山野一郎氏のスマートフォン。


よつば「山野さんは普段から明日の予定などをスマホに記し、通知が来るようにしていたのです」


彼はスマホを開き、明日の日付をタップする。


3月1日

ナイトバロン最新作、発売日


よつば「工藤優作氏によるナイトバロン、僕も楽しみです。こんな予定を立てる人は自ら命を捨てたりしません。では


??「犯人が密室から抜け出した方法とは?」


高山よつばの達者な推理に割って入ったのは、これまた客人の佐藤 紫(さとう ゆかり)。


紫「犯人は逃げたのではなく、その部屋に身を潜めていたのです。そしてメイドさんが部屋を訪れ鍵を開ける。血まみれの山野一郎氏に驚き、救急連絡の為にその場を後にする。ここで密室は密室じゃ無くなった」


その場にいた全員が固唾を飲んだ。


紫「最後に。大事なのが……


??「証拠!」


このパターンは本日3回目。声の主はまたまた客人の中村 紗奈(なかむら さな)。


紗奈「実は本日のパーティーに参加した関係者の多くは、山野一郎氏の明日の予定を知っていました。でもこの中でたった一人、その予定を知らなかった人がいます!」


守「そ、その人以外なら自殺に装おうとはしません」


紗奈「ちょっと、最後は私に言わせてよ!」


紫「いや、ここは私でしょう」


よつば「と…とにかく」



4人「「「「犯人はあなただ!!!!」」」」





これは立場が違う4人の物語。

賞金制度が設けられた現代日本の物語。

怪異や超能力などは存在しない世界の物語。


これは、4人の賞金探偵が織りなす謎解きの物語である。

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