夢を喰らう猫の話#400字アタック
大臣
君はいつから「ヒーロー」とか「アイドル」とかの、突飛な夢を見なくなった?ああ良い良い、答えなくて。覚えてないだろうからね。
現実と折り合いをつけた結果、見られなくなったそういう夢たちは、かつて夢を見ていた人々に復讐しようと息巻いていてな、色々な形で顕現しようとする。
鬼、ドラゴン、魔女。
古い記録とかにあるそいつらは、みんなそういうやつだ。
え?
それにしては数が少ない?
ははは。確かにな。でも話は最後まで聞けよ。
その理由は二つある。
一つは、絶対数が多いわりには、悪事を企む夢は少ないんだよ。夢は夢で、折り合いをつけてる。
二つ目は、俺たちがいるからだよな。
悪事を企む夢たちを、現れる前に喰らい、現れた夢を、勇者とかに変身して倒し、残骸を喰らう俺たちのような猫は、どの街にも一定数いる。条件はたった一つ。前世が人間であること。まあだから、最初の質問をしたんだがな。
何? 今日が君の初仕事なのか。健闘を祈る!
夢を喰らう猫の話#400字アタック 大臣 @Ministar
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★54 エッセイ・ノンフィクション 連載中 184話
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