今年の初夢を短編小説にしてみた
王叡知舞奈須
王叡知の初夢 2019
「行ってきまーす!」
そう言って家を出た俺の名前は王叡知(仮名)。一応捕捉すると下の名前ってことにしといてくれ!
茨城県・有岡市に住んでる。年齢? だいたい中学生か高校生くらいってことで!
俺は今から友達の
「こんにちはーっす!」
そしてとくに何事もなく友人宅に―――それはもう描写する必要のないくらいスムーズに到着!
「あら、王叡知くん。いらっしゃい」
「あ、奈々さん! どうもっす」
そして出迎えてくれたのは一輝くんの姉の
シャツの上から灰色のカーディガンを羽織り、さらにベージュ色の無地のロングスカートと、ラフな格好をしている。なんというかライダースーツ的なぴっちりした衣装とか似合いそうな美人さんです。
落ち着いた雰囲気で、凄く……美人です……(大事なことなので二回ry)。
そこそこ背が高くて、スタイルもよくて、長い黒髪もサラッサラで……何より、伸ばされた前髪で片目を隠しているのが、どこか影のあるような感じがして、なんか、すごい……いい……。
「……どしたの?」
「―――え!!? い、いや別に……!!?」
「……変なの」
おっといけない。友達のお姉さんに見惚れてしまっていた。
そして危うくエロガキ並みの感想を悟られるところだった。
そんな俺に奈々さんは微笑んでくる。そういうとこやぞ……。
ところで、とここで本題を切り出してみる。
「ところで、一輝くんと遊ぼうと思ってたんですけど……」
「あー……一輝ならちょっと前に出かけちゃったかな……」
「え? マ?」
「マ」
不覚ッ!!!
ここにきてまさかの本人不在である。
……あれ、でもアポイントとってあったよね?
「マジかぁ……まぁ、いないならしょうがない……また今度伺いまーす」
そういって帰ろうとした時。
「あ、待って」
奈々さんに呼び止められた。
「せっかくだから上がってかない?」
「え……い、いや、悪いですって……」
「……ダメ?」
「ふぇっ!!? いや、だめってわけじゃ……」
上目遣いとかしちゃって……っ!!!
本っっっ当にもう!!! そういうとこやぞっ!!!
「……それじゃ、お言葉に甘えて……おじゃまします……」
それからしばらく奈々さんのお世話になってしまった。
……いや、対したことはしてないよ? お茶菓子頂いてお話してただけだよ? (間違えてもR-18な展開とかは)ないです。お互い未成年ですし……というかカクヨムでそれやったらまずいですよ!(メタ)
あと俺は淫夢なんて知りません。いいね?
*****
そんなこんなで実際に帰ったのは四時半頃になってからだ。
ついでに言うといつも通る道が異様に混んでて仕方なく迂回するルートで帰路に着いていた。
「おっ王叡知じゃん!」
そこに知った声がかけられる。
「誰かと思えば透か」
「誰かと思えばって何だよ……」
丁度そこで出会ったのは透くん(仮名)。俺と一輝の友人の一人だ。
「なんか検問みたいなことやってて通れないんだと」
「検問? ……何でまた」
「知らんねぇ」
「ところで一輝はどうだった?」
急に一輝のことを尋ねられた。
「……唐突だな」
「一輝ん家行ってたんだろ?」
ってか、それ以外にこっちに来る用事ねーだろ。と付け足してきた。実際そうだった訳だが。
「……最近、良い噂聞かなくてな……」
「何、あいつが不良デビュー?」
んな訳ないじゃん、と返す。あの心優しい一輝くんだよ?
「不良、っつうか……宗教、的な……?」
「中二病的なやつ?」
「何っつうか、聞いた話なんだが……前に、宗教勧誘の人に付きまとわれてたって話で」
「何それ怖い」
「んで、そんとき丁度一輝が通りかかったみたいなんだけどな。
……なんか、人が変わったみたいに怒鳴り散らして撃退したんだと」
「何それ怖い」
我ながらBotみたいな反応になってしまった(笑)。
「そんで、俺が気になったのはその後なんだが……」
「……なんか、すっごいボソボソとなにか独り言を言ってたらしい」
「愚痴ってただけじゃないの?」
「かもしれねぇさ」
だが、と。一呼吸入れ。
「ちっとばかし気を付けた方がいいぞ……」
何やら意味深な事を言い出したところで、透とは別れた。
*****
家につき、自室で何となくつけていたテレビのニュース番組を聞き流しながら手元である作業をしていた時だ。
『たった今入った速報をお伝えします』
「―――?」
『本日午後四時頃、茨城県・有岡市にて、身体中を刃物の様なもので切り裂かれた遺体が発見されました』
「―――!!?」
猟奇殺人!!? しかも有岡市ってこの街じゃん!!?
しかもここって……。
映っていたそこには見覚えがあった。
『検察によりますと遺体は推定で死後数時間ほどしか経っておらず』
検問があって通れなかった区間にあの景色があったはずだ。
───まさかあの時透が言ってた検問って……!!!
『また、被害者は男性で、新興宗教の勧誘を―――』
心臓の拍動が歪に高鳴り始める。
『ちっとばかし気を付けた方がいいぞ』
先刻、透に言われた一言がフラッシュバックする。
まさか……。いや、そんな馬鹿な……だが……。
その時。
「こんばんはー王叡知くん」
玄関から声が響く。
一輝くんの声だ。
「ちょっと待ってて」
そう応じつつ、手元でのあるものの作業を手早く終わらせる。
気休めだが、そう小さく呟きながらそれをポッケに仕舞い、
「 お ま た せ 」
いつもの様にねっとりボイスで応対した。
「今日はごめんねー、ちょっと立て込んでてさ」
玄関の扉を開ける。
そこにいたのは、いつもと同じ優し気な笑顔を浮かべる一輝くんだった。
身体中が返り血で塗れている事を除けば。
「―――ッ!!?」
絶句しながらもためらい無く王叡知はポッケに隠し持っていた
趣味のサバゲーで愛用しているガスブローバックハンドガン〈ストライクウォーリア〉。東京マルイ製・お値段税抜き16,800円(当時)の、銃口に殴打用のスパイクが設けられたその銃は、既に初弾装填済みであった。
弾種は0.2gBB弾―――サバゲーで一般的に使用されているものと同じ重量の弾だ。条例などで推奨されているバイオBBは高いので自宅練習用に買っておいた
ほぼ無手状態から構え、
サバゲーチームの先輩に直々に鍛えられた賜物のクイックドロウが炸裂───したかに思えたが。
「……どうせ死なないとはいえ友達にいきなり発砲するかなぁ普通……」
「……そんな恰好の相手に『普通』を基準にはできないでしょ普通……」
皮肉に皮肉を返す始末。
正確に一輝の顔面───それも眼を狙って放たれたBB弾は狙いに向かい真っ直ぐに飛び、だが当たることなく見えない何かに阻まれる様に急停止して落下した。
立て続けに二度、殺気に似た何かを感じ取り、王叡知は右半身を後ろに向ける様に身をよじる。
すると直後───それも体感だが0.1秒と掛からない程一瞬で───、見えない何かが王叡知の身体の
「───それが例の
「───ご名答……」
一輝が掌を上に向ける様に右手を掲げる───するとそこに小さい
「僕は風を操れるんだよ」
そう豪語する彼の背後には───竜巻にも似た無数の旋風が吹いていた。
ゲートオブなんたらてきな感じで飛ばしてくるパターンだこれ、と。
そう察した途端───それは立て続けにスパークして襲い掛かってきた。
「───甘いな」
ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべ
「【
そう宣言―――と同時に。
「───早いッ───!!?」
加速することにより風の弾丸を回避する王叡知。
「───なるほど……ッ!!! 自分の体内時間を加速させることで、素早く動ける様にしたのかッ!!!」
「当たらなければどうということはない!!!」
それを皮切りに、風とBB弾による応酬が幕を開ける。
一緒に弾も加速してみえるのは仕様です。
「あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
「何が可笑しい!!?」
狂気を孕んだ笑顔を浮かべ、壊れた機械の様に乾いた笑い声を上げる一輝。
そんな変わり果てた友人に悪態を吐きながら、王叡知はいつの間にかポッケに入っていた弾倉を取り出し愛銃に再装填。
「そう、これ!!! これだよ!!! この感じッ!!!」
「何が……ッ!!?」
応酬しながらもどこからともなくサバイバルナイフを取り出しては左手に逆手で構える王叡知。
あれ、こんなの持ってたっけ? と普通なら考えそうだがそんな余裕もないこともあってそれで襲い来る旋風を切り裂いて散らせることで防ぎきる。
「これが───」
「───楽しいって言うんだァッ!!!」
「―――殺し合いが楽しくてたまるかァッ!!!」
自宅の玄関をボロボロにしながら、なおも応酬は続いた。
2019年1月1日 朝
ここで王叡知舞奈須(現在20代)、目が覚める。
憶えてる夢の内容を要約してみると。
俺、友人A宅にいく
↓
友人A不在orzけど親族はいたのでお茶菓子ごちそうになる
↓
帰路、別の友人Bと出会い他愛もない会話
↓
しかし友人B、去り際に何か不穏な言葉を告げる
↓
帰宅、直後猟奇殺人が近くで起きたニュース
↓
慌てて家から飛び出す俺
↓
しかしそこには血塗れになりながら狂気の笑顔を浮かべる友人Aが
↓
俺vs友人Aで異能バトル始まる
だいたいこんな感じだった。
起きたて王叡知「 ど ん な 初 夢 だ よ !!! 」
めっっっちゃ心臓バックバクだった王叡知@初寝起き。
こ ん な の 正 夢 に な っ て 堪 る か
P.S.
それはそれとして、読者の皆様。
あ け ま し て
お め で と う ご ざ い ま す 。
……代役してもらった甲王牙のキャラ達の風評被害やばそうだな(笑)←。
今年の初夢を短編小説にしてみた 王叡知舞奈須 @OH-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます