第十話 危険なドライブ

「館長はやはり信用できませんか」

「うーん、一応得体のしれない人だからね」

「でも悪い人って感じがしないんですよ」


 長谷川さんは運転しながら怖い顔を浮かべる。


「あの人意外にやばい人かもよ。世の中いい人だけじゃないんだ」

「そうですか」

「怪しい取引っていうのもなにしてるかわからないしな」


 そんな話をしながらもまた山奥に入った。

 やはりクマが出そうな雰囲気。

 ちょうど春だし。


 そんな春の陽気にやられ、瞼がだんだんを重くなってきた。

 ね、眠い――。


「どうしたの? もしかして眠いとか?」

「ま、まさか。眠いだなんて言ってたら壮大な古代都市なんて解決できませんよ」

「ふーん、じゃあクマ出没の看板も目に入ってる?」

「え、え‼」


 左端の森の中にさびれた看板があるのが目に入った。

 そこには確かにクマ出没と書かれている。


「く、熊。熊ですか」

「まあ早々熊なんかでないさ。長谷川さんも脅しちゃだめだよ」

「そうか、ははっ」


 あの看板で一気に目が覚めたが再び眠気が。

 でも一人だけ寝るのは失礼だしなぁ。


 そんなこんなで最神科学館についたのは二時半。

 熊は出なかったけどね。

 

 今日の閉館時間から緊急会議が開かれます!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愉快なサイエンティストは今日も謎と向かい合う 如月風斗 @kisaragihuuto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ