⒋滅亡の襲来
──────絶対にまずい。
頭の片隅でそう分かってはいるが、私は現実を飲み込めずにいた。
さっきの猪にとりあえず声をかける。
「どうして猪がこんなにたくさん集まって山を降りているの?」
すると、思わぬ返事が帰ってきた。
「
私は悟った。
私が自分の身勝手でしたことが、これだけ大きな反感を買っている。
そして、それは私を殺そうと思うほどに大きな怒りなのである。
しかし、私もここで死ぬのは嫌だと思った。
とりあえず猪には別れを告げ、神社へ急ぐ。
神社についた。
時間は十一時五十九分を回っている。
ネズミの数は相変わらずだった。
だが一つさっきと違うところがある。
紫色の
よく見ると、神社の
まるで私の代わりに次の年を連れてこようとしているかのようだ。
でも、その光はとても暗いオーラを
そして、十二時になった。
だが、何も起こらない。
私は少し安心した。
しかし、そんなに甘い話はなかった。
除夜の鐘とともに聞こえてきたのは、「さようなら、二〇一八年。こんにちは二〇二〇年!」という声であった。
つまり、二〇一九年が消えてしまったのである。
ネズミが大量にいたのはつまりそういうことなのだ、と言うことに気がついた。
二〇二〇年の干支はネズミなのである。
そして、私はまだ封印を受けていない。
ということは、私以外の何者かが二〇二〇年を連れてきたことになる。
すると、神社の祭壇からさっきの呪文を唱えていた人が近づいてくる。
そしてこう言ったのである。
「私はお前の代わりにここに送り込まれた。残念だがお前には帰る場所はない。そして、お前はこれからも人に見られたら消えるし、
と。
もう終わりだ。
永遠に孤独に生きる?
居場所がない?
そんなのどこにも生きる価値なんてないじゃないか。
もう、あきらめよう。
「
精霊はこの言葉を残し、消え去った。
地平線からは二〇二〇年の初日の出が少し頭を覗かせ、新たなる年の訪れ祝福しているようだった。
大晦日 飛鳥 未知琉 @kurikinton_v
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