第6話
ユリナとコナリーが扉を開ける少し前にクリスティーナ、ロビンの親子が話し合っていた。
(あら、こんな時間に来るなんて誰かしら?)
(きっとコナリーさんだよ。今度こそ間違いないよ。)ロビンが言った。
ベアドロス親子はきょとんとして顔を見合わせている。
(だ、誰ですか?そのコナリーさんという人は?)ベアドロスが不思議そうにクリスティーナとロビンに尋ねた。
(心配は要りません。彼はジュウドフの親友でとても優しい人です。)クリスティーナが答えた。
ロビンが最初に飛び出して行って、扉を開けた。そしてその扉の向こうにいるコナリーとユリナを見てびっくりした顔をして言った。
(コナリーさん、あなたの横にいる若い女の人はいったい誰ですか?)
(この娘さんはユリナさんといって、悪党どもに襲われそうになったところを私が助けてやったのだよ。)
(そうだったのですか。急に家の中がずいぶん賑やかになって良かったわ。さあ、どうぞ、家の中にお入り下さい。)クリスティーナが嬉しそうに言った。
(それではお言葉に甘えさせてお家の中に入らせていただきます。)そう言うとコナリーはユリナと一緒に家の中に入って行った。その2人を見たベアドロスが少し遠慮がちに言った。
(失礼ですが、その娘さんはどうやら外国人のように見えますね?)
コナリーはベアドロスとショーンの方を見ると言った。
(おや、その親子のようなお2人はいったいどちら様ですか?)
(このお2人はわたしたちの親戚にあたる人たちでとても良い人たちです。)コナリーの問いにクリスティーナが答えた。
(申し遅れましたが、私はジュウドフさんの親友でコナリーという者です。そして私の横にいるユリナという娘さんはどうやら遠い外国から来たようなのです。)コナリーの言葉を聞いたベアドロスは慌てて話し出した。
(私はジュウドフさんの親戚にあたる者でベアドロスといいます。そしてこの小さな男の子はショーンといって私の養子なのです。私たちもジュウドフさんに会いに来たのですが、残念ながらお留守のようなのです。)
(そうだったのですか。ジュウドフさんはお留守なのですか?どうやら私たちは無駄足をしてしまったみたいですね。)コナリーが残念そうに答えた。
(でも、すぐに帰って来ると思いますので、どうぞ我が家でお寛ぎ下さい。)クリスティーナが満面の笑顔を浮かべながら答えた。
(何だか、いきなり家族が増えたみたいだね。)ロビンはとても嬉しそうに見える。何しろわずかな時間に4人もの訪問者が来ることは今までめったになかったから...。その4人の中でも特にみんなの目を引いたのはユリナの存在だった。艶やかで黒い髪とつぶらな黒い瞳をして、まだ幼そうな顔立ちをした少女は明らかに外国人のように見えたからだ。それに見たことのない奇妙な服装をしている。服もあちこち破れてかなり汚れている。
(その娘さんは初めてお目にかかりますがとても賢そうですね。それにしてもかなり、大変な辛い思いをして来たみたいね。かわいそうに!)クリスティーナが言った。
この時、クリスティーナは直感でこの娘とは気が合いそうな予感がした。
(残念ながら、この娘さんは我々の言葉が分からないらしいのです。しかし、心配することはありません。私の魔法で何とかコミュニケーションがとれるようにしてみましょう。)コナリーが言った。
ロビンとショーンの男の子たちはとても嬉しそうな顔をしている。2人ともどうやらこの少女に興味深々のように見える。
ユリナはこの状況がまったく理解出来ず、自分の置かれている立場にも気づいていなかった。何しろこのコナリーを加えた5人の言葉の意味が分からないので、途方に暮れてしまったように見える。(この人たちの話している言葉は英語のように聞こえるけど、かなりアクセントが強すぎてまったく理解できないわ。)この時、コナリーが心配はいらないさ。というようにユリナに優しくウインクして見せた。
(それではさっそく私の知り合いのあらゆる言語に精通している精霊アンドーラを呼び出すとしよう。)そして、コナリーは不思議な呪文を唱え出した。すると床の下の方から白い煙が立ち昇って来て、その煙が次第に人間のような形になっていった。それは歳をとった小さ女性のように見えた。最初はみんなびっくりしてその小さな女性を見つめた。
しかしクリスティーナとロビンはジュウドフからコナリーのことを良く聞かされていたのでさほど驚かなかったが、ベアドロスとショーンはかなり驚いたような顔をしている。ユリナにいたっては腰も抜かさんばかりに驚いてその場から逃げ出そうとしている。
(逃げなくてもよい!そこのお嬢さん、アタシにはあんたの言葉がちゃんと分かるのだよ。)その老婆がその場にいたユリナを除いた人たちが聞いたことの無い言葉で話した。
ユリナは最初こそ怖がっていたが、逃げるのをやめて小さな老婆の元へおそるおそる近づいて行った。ユリナには老婆の言葉が分かるようだ。
(この老婆はいったい何者なのだろう?)とユリナは思った。
聖剣の守護者 @nobuokitajima19521117
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。聖剣の守護者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます