第5話

ショーンと初めて会った時、ロビンは

小学校に通学していた頃のことをふと思い出した。

(あれは確かぼくが小学校四年生の時のことだったなぁ。)

あの時、アンダンースン先生という若い先生が転任して来たんだ。アンダンースン先生は眼鏡をかけた知的な人でとても厳格な先生だった。あの先生はとてもきびしい先生で、良くぼくは怒られてばかりだったけど、ある日、アンダンースン先生はこんなことを言っていたなぁ,,.。)

(君が中学生になった時に小さな男の子が君の家にやって来るはずだから、仲良くしてあげるのだよ。いつも他人に善意を持って接すれば、君にもきっと本当の幸せというものが分るに違いない。それにその子は将来、君の大の親友になるに違いない!)

(えっ!なんでそんな未来のことが分かるんですか?)

(なーに、これは私の予感であって特に気にすることはないのだが、このことを良く覚えていておきなさい。たぶん、君がこの小学校を卒業してしまうと私と会う機会はほとんどないだろう。だが、私はこれからも君のような純粋な心を持った生徒に何人も巡り会うことだろう。)そういい残すと先生はぼくの元からさっさと立ち去って行ったなぁ。今から思うと先生の言っていたのはこのショーンのことだったんだ。でもアンダンースン先生とはきっと大人になってもどこかでまた会えるような気がするんだ!)

(ロビンのお兄さん、さっきから何を考えているの?)

ロビンはショーンの言葉でハッと我に帰った。

(いや、何でもないんだ、ただ少し昔のことを思い出していただけさ。

(ところで君はいったいどこからやって来たんだい?)

(ぼ、ぼくはこの村からずっと西のマトラ村から来たんだよ。)

(ふーん、そんな遠いところから来たんだ。でも、何の用があってぼくの家に来たんだい?)

(お父さんがどうしてもぼくをジュウドフさんに会わせたがっていんでここまで来たんだ。)

(そうかでもベアドロスさんは何で君をぼくのお父さんに会わせたがっているんだろう?)

(ぼくにはお父さんの気持ちがよく分からないんだ。)そう言うとショーンは困ったように下を向いてそれ以上話そうとしなかった。

(うーん、良く分からないけど、よっぽど深い事情があるみたいだなあ。それに何だかこのショーンという子が弟のような気がしてきたなあ。)

その時、隣の部屋でベアドロスと雑談していたクリスティーナがやって来て2人の子供たちに言った。

(さあ、さあ、奥の部屋で食事の用意が出来ているので一緒に食べましよう。)

2人の子供たちはクリスティーナの後について食事のために奥の部屋へと向かった。久しぶりにロビンは楽しい時間を過ごしたいのを感じていた。

コナリーとユリナがジュウドフの家に着くのはそれから間も無くのことであった。


(ふう、あの悪党どものおかげですっかり時間を取られてしまった。やっとジュウドフの家の灯りが見えてきたぞ!)コナリーとユリナはすでにジュウドフの家の近くまで来ていた。

ユリナはコナリーの話している言葉は理解できなかったが、今ではすっかりコナリーのことを信頼していたのだった。

(この人は絶対に悪意のある人ではないわ。この人に任せておけばすべていい方向にゆくに違いないわ!)ユリナは密かにそう思っていた。ユリナはこの世界に来てまだ日が浅かったのでずっと心細い思いをしていたのだった。

その頃に夕暮れどきになっていて辺りはすでに薄暗かった。ユリナは自分の周りをとりまく新鮮な空気を嗅いで生き返ったような清々しい気持ちを感じていた。その家の周囲をうっそうとした林が取り巻いている。目の前にある家は赤い屋根の煉瓦造りの建物で、お伽話にでも出て来そうなん家でとても可愛らしくユリナには見えていた。

(ユリナ!さあ、家の中に入るぞ!)コナリーがユリナに手招きした。ユリナはコナリーの意図を察してこっくりとうなづいた。そしてコナリーは家の呼び鈴を鳴らした。

やがて家の扉が静かに開いて、奥の方にユリナが初めて会う数人の様々な年代の男女の姿が彼女の目に飛び込んできた。



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