第3話
それからログナは大国リングマー・オウウィン王国を目指し、辿り着いたのは手紙を貰ってから二週間後の真夜中だった。
自身のフード付きの黒マントに面という格好に加え夜中ということもあり、警備も厳しく国境に設置された関所での手続きは予想以上に時間を要した。
長旅の挙げ句のこの仕打ち、更に加えて今は真夜中空いている宿などある
翌朝ログナは公園のベンチで目を覚まし、クゥッーと伸びをして昨夜のことを思い出す。『そういえば、疲れはてて偶然見つけたこの公園でベンチに座ってそのまま寝たんだったか。』昨夜の疲れはまだ取れていなかったが、兎に角少しでもスッキリしようと公園の中央にある噴水で顔を洗うと幾分か気分が晴れた気がした。
そして、首都シータル
シータル城に着いてからも衛兵への伝達不足なのか何なのか、ログナは呼ばれて来たにも関わらず、
そんな衛兵との
ログナは城内へと続いているであろう扉の前に立つ二つの影に気付く。
門の前にいた二人の衛兵とは明らかに服装が異なるその
向こうもこちらに気付いたようでログナと目が合うと「ようこそ、おいでくださいましたログナ・フィネット殿。
私は、今回ログナ殿を御呼びした、ディトレイ・リングマー・オウウィン・シータル殿下の側近のシフィア・カートと申します。」
「同じく側近のガイア・ウィッドと申します。」とシフィアと名乗る女性とガイアと名乗る男性がログナを出迎える。
「ログナ・フィネットです。」とログナも名乗り、軽く頭を下げた。
「長旅でお疲れでしょう。どうぞこちらへ。お部屋へご案内致します。」
二人の側近に案内されるまま城内へと入る。案内されたのは、宿泊客用の客室だろうかベッドに机・椅子にローゼット・シャワー室と造りは簡単なもののそこらの
すると、「今夜はこちらのお部屋でお休みください。ログナ殿には明日ディトレイ殿下にお会いしていただきますので、それまでごゆっくりおくつろぎくださいませ。」
「お食事や浴室の案内はまた
城に着けばすぐに呼び出した本人に会えると思っていたログナはフッと気が抜けよろめいた。
『少し休ませてもらうか。』とログナはソファに横になる。
その後は側近の言っていた通り、食事や浴室の案内を受ける以外はこちらに気遣ってか城内の者との接触は
『・・・・・・・・アイツはここにいるのだろうか。
いてほしい・・・いや、いないでほしい・・・・・。
会いたい・・・会いたくない・・・・・。
俺は、いったいどっちなんだろうな。まぁ、多分どっちともってのが正解なんだろう。』
そんな矛盾した感情を抱き、自問自答をしながら意識を手放した。
ーおい、あんた生きてるか?ー
ーあんたって、つまんねぇ
ーなぁ、あんたって名前とかあんの?ー
ー俺の名は、ラズ・ナディスだ。ー
ーログナはログナだろ。
ログナ・フィネットって人間はただひとりで、唯一の存在なんじゃねぇの。ー
ー背負っていくなら、覚悟を持って最後の最期まで貫き通せ!!ー
ー俺からしてみれば自分から放棄すことのほうが重罪だと思うけどな。ー
ー次の仕事の場所が決まったぞ、
ログナ!ー
ーっつ、今回は助かった。悪かったな。
迷惑をかけた。ー
ーログナ、お前は・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ー
ーなぁ、ログナ俺は・・・・・・・・・・・・・・・・。ー
ー生まれて初めてだな、ここまで自分を出したのは。ー
ーログナが相棒で良かった!
俺の相棒になってくれてありがとな!ー
ーごめんなログナ・・・・・。
ほんとごめん。俺のことは許さなくても良い・・・・・・・・・・だから、もう、忘れてくれ。ー
「っ!!!ハアッ、ハァハァハァ・・・・・・。」
翌朝早朝にログナは、シータル城内の一室で目が覚めた。
全身には、ジットリと脂汗をかいている。「とんだ悪夢だな・・・。」とログナは手で顔を
部屋に取り付けられてたシャワー室で汗を流し着替え終えたところでタイミングよく扉がノックされ朝食の案内を知らせた。
月光に映りし影法師 カザミウサギ @yayoi
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