憑き物

まかだみあん

第1話 少女と疫病神

あるちっぽけな田舎村に最強最悪の能力に目覚めた女の子がいた。


少女の能力は《不幸》身に降りかかる不幸を力として変換する。


知られている能力の中でトップを争うほどの能力だった。


身体能力、魔力全てにおいてトップクラスの能力、だが幼い少女には荷が重すぎた。


少女の周りでは常に不幸なことが起こり、それは次第に村までも巻き込むようになった。


村人達は恐れ、少女を疫病神と呼び監禁してしまった。


少女は毎晩暗い牢の中で泣いた。


ある日のことだった。


食もろくに貰えず衰退していた少女の目の前に、黒い魂があらわれ話しかけてきた。


『よぉ。チビちゃん』


「誰...?」


『チビちゃんの憑き物さ!

村の奴らが言う疫病神ってとこだな』


「...」


『俺と契約しようぜ?そう睨みつけるなよ〜、チビちゃん願いを言ってみな。ここから出られるかもしれないぜ?』


黒い魂は嘲笑うかのように少女に問いかける


「...たい」


『なんだって?』


「死にたい。殺して。」


『ハッハー!これは凄い、濃い望みだ!

本当に心の底からそう思ってる見てぇだな!

望みは聞いたぜ?契約完了だ、引き出せる能力は8割ってとこだな。』


「力なんていらない...殺してほしいの」


『残念ながら無理だ。』


少女は驚いた。聞いてた話と違うのだ。

憑き物との契約とは望みを言い、その望みを叶えると同時に能力を得るということだった。


『俺は特殊でな名前は“厄牙”能力は《不幸》主の望みに反するものだ。死んだら幸せになるということは、死ねずに生きるお前は不幸そのものという事になる。お前は今日から"不死"になった。おめでとう』


最強最悪の能力に、これまで聞いたことがなかった《不死》が誕生した。


皮肉なことにそれは死にたいと願った少女が授かったものだった。

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