第11話

岩山の魔王の居城

黒く大きな体と紅の瞳を持つ魔族が王座に頭を垂れて傅く、元魔王の姿がそこにある

その後ろに居並ぶ四人の影、四天王と呼ばれる者たちである

玉座に座るのは黒髪の少年、アイボリーの肌と黒い瞳

光沢をもつ白い生地に金の縁取り、胸に神の紋章が刺繍されているサーコートを着る

膝の上の白く透明な(°°)スライムを撫でている

少年の傍らに立っているのは長い黒髪の少女、アイボリーの肌と黒い瞳

光沢をもつ白い生地に金の縁取りが施されている神官用のローブを身に纏う

胸にはサーコートと同じく神の紋章が刺繍されている

そしてもう一人は金色の髪と金の瞳、猫耳と尻尾の獣人族の少女

長い黒髪の少女と同じ神官用のローブを身に纏う


「シロ様。全ての準備が整っています」


「死者は少なく速やかにね」


「心得ております、通達済みです」


「では、作戦を開始する」


玉座に座る黒髪の少年が立ち上がり宣言する

傅いたまま元魔王とその後ろの四天王が声を上げる


全世界で火の手が同時にあがる

王国、帝国、公国、共和国、首長国、連邦国、市国、自由貿易都市、学園都市

現支配者に不満を持つ全ての民衆が立ち上がる

革命の始まりである


仕込みに10年の歳月を掛けた作戦である

シロとアヤカが直接国々を回り協力者を探し反抗勢力の組織にまで作り上げた

密に連絡を取り合い人材を育てた、重要な役職にまで人を送り込んだ

少なからず支配者階級でありながら協力を申し出る者も居た

一切の保証も保障も補償もしない、それが全ての参加者への条件だった

しかし、それだけでではない、

支配者層と対等に取引ができる組織の協力も不可欠であった

冒険者ギルドと商人ギルドである

冒険者はもともと支配者層とは縁が薄い、協力は比較的取り付けやすかった

此方の勇者と聖女の肩書が話が進めるのに役立った

商人ギルドは条件を付けてきた、各国の協力の下に世界市場の構築である

世界市場と世界規模の流通は願ってもない提案であった


そして世界が大きく動き出した


















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シロとアヤカ ~異世界勇者召喚魔王英雄譚~ @ikenob

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