最終話
飯の途中にした話をまとめると
・私が火木土に出勤して、もう一人の私が、月水金に出勤すること
・一人が外出している時にもう一人が外出してはならないこと
・仕事のない日曜日は第1第3は私で第2第4はもう一人の私が外出できること
それぐらいだろう。
誰かと暮らすのが久しぶりなので少し心配だが、同居人は完全に自分だ。
話は会うし、趣味も合うし、なんとかうまくやっていけそうだ。
と、そう思っていた時期もあった・・・
ある日、私は恋心を抱いている秋子ちゃんとデートする約束をすることができた。
私はニヤニヤしながら家に帰ると、もう一人の私が
「何でそんなににやけてるんだよ。気持ち悪いぞ。」
「いや、聞いてくれ。明日、秋子ちゃんと横嶋公園でデートする約束ができたんだ。」
「でかしたな。それで何時に待ち合わせなんだ?」
「何で、お前に言わなきゃならんのだ。」
「だって明日は第2日曜日だよ?私が外出できる日だ。」
「だが、約束したのは私だ!」
「それは私でもあるのだよ。」
私は言い返せなかった。
私たちは同じ私なのだが、それは本当に同じ私なのか?
私はそんなことを考えていると、訳が分からなくなった。
それと同時に手柄を横取りされそうになっている恐怖と怒りで、もう一人の私を殺してしまった。
もう一人の私は死んだのに私は死んでいない。
そのことがあまりにも恐ろしく、私の死体を山に捨て、部屋を綺麗に掃除し、食器などを捨て、もう一人の私が来る以前の状態と同じにして、眠りについた。
悪い夢を見ていたのだと思うようにしたのだ。
しかし、そんな現実逃避も虚しく、次の日にはまた同じ私がいたのだ。
殺した私とそっくりの人物、いや同じ人物がいた。
それよりも、私は私が殺した私と同じ顔をしているのが恐ろしかった。
私は逃げ出した。秋子ちゃんとの約束などどうでもよくなった。
誰にも会いたくない。もう自分の顔すら見たくない。
そうして、自分でも訳が分からないほど逃げたのだった。
—————
—————
—————
「どうだったかな?私の話は?」
男の問いに私はこう答えた。
「うーん、そうだな。
取り敢えず話が長いよ。
もうすこし簡潔にしてくれ。
私よ。」
あなたはわたし アフラーム @aFlooM
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます