3話

心の何処かでは理解していた。

この男が私自身であることは。

でも理解したくなかった。

「証拠を見せろよ、証拠を」

「うーん、そうだな・・・。私は同僚の秋子ちゃんが好きだ。」

私はその返答でどうしようもないほどわかってしまった。

この男は私だ、と。

その気持ちはまだ誰にも言ったことのない気持ちであったからだ。

「少し頭を整理させてくれ。」

そういって、トイレに向かった。




どれくらい時間が経っただろうか。

1時間ぐらいだろうか。

扉の向こうから声がした。

「そろそろいい?話したいことがある。」

「あぁ、構わない。」

「なんで私がここにいるか、わかる?」

「何故か?・・・分からん。」

「まだ整理がついていないんだね。私が呼んだんじゃないか。」

???

どういう・・・・アッ

そうか、会社に行く日を半分にしてほしいとはこういうことだったのか!

「どう?わかった?」

「あぁ、わかったよ。」

「整理がついたんだね。それじゃトイレから出てきてもらえる?」

「そうだな、整理がついたら急に腹が減ってきた、取り敢えず飯にしよう。」

そう言い扉を開けた。

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