2話

男は私の返事を聞くや否や話し始めた。

———

私は普通のサラリーマンだった。

朝起きて、会社に行き、夜遅くに帰ってきて、寝る、それを繰り返すだけのロボットのような、普通のサラリーマンだった。

だがある日を境に変わった。変わったといえば変わったが変わっていないといえば変わっていないのだが・・・

そんなある日の話だ。

—————

明日流星が降るらしい。

だから、子供みたいだが流星にお願いしよう。

働く日を半分にしてくれと。

—————

—————

—————

結果、成功してしまった。

働く日を半分にできてしまう、そんな事象が発生してしまったのだ・・・

勘のいい人なら何が起こったかわかるかもしれない。

出来るだけ簡潔にいうと

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

私が二人になってしまったのだ。

私は目がさめるともう一人自分がいたので飛び跳ねて驚いた。

夢かと思い、頬をつねったり、壁に頭を打ち付けたりしたが、どうも違うらしい。

私は今まで感じたことのない恐怖を感じた。

自分と瓜二つの人間が自分の目の前にいるのだから。

私は自分似の男に

「お前は誰だ?」と問いかけた。

「その質問はおかしくて笑っちゃうね。」と男は笑いながら答えた。

私はふざけた態度に腹を立て

「ふざけてるわけじゃない。真面目に聞いているんだ。お前は誰だ?」

とすこし怒気を孕んだ声で言った。

「何か怒ってるみたいだし、真面目に答えるよ。」

————

————

「私は私だ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る