あなたはわたし
アフラーム
1話
私が、夜遅くに仕事から帰るときだった。
駅のホームを出て、ほとんど誰も通らない薄暗いアスファルトの道を歩いていた。
ふと左を見たときに、小さな路地を見つけた。
それは先の見えないほど真っ暗で、今まで歩いていた道の薄暗さとは比べ物にならないほどの暗さだった。
おまけに、暗すぎるのか、はたまたその路地が長すぎるのかわからないが、出口が見えないのだ。
私は何を思ったのかその路地に足を踏み入れてしまった。
何故か恐怖は感じず、好奇心だけがふつふつと湧いてくるのだ、この先はどうなっているのかと。
私は連日深夜まで働いていた疲れを忘れ、路地を歩き続けた。
特に、代わり映えのない普通の路地だ。
だが一つ違うところを言えば、この路地、少し長すぎる所ぐらいだろう。
私は歩き続けた。
流石に足も棒のようになってきた。
それでも、歩き続けていると奥に小さな明かりを見つけた。
出口だろうか、私は好奇心を抑えきれずに、疲れを忘れ小走りになってしまう。
やがて小さな光が大きな光となり私を包み込んだ。
目が光に慣れ、辺りの様子がわかってきた。
中世の酒場のような明るさの、丸い形をした広場だった。
すると一人の男が私に問いかけてきた。
「私の話を聞いてくれないか?」と。
私は少し不気味に思ったが、興味があったので、
「良いですよ、お聞きします。」と彼の話を聞くことにした。
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