ただ描写しただけなのに!
- ★★★ Excellent!!!
ストーリーが次々と転がるわけでも何か奥深い人間ドラマが展開されるわけでもなく、エッセーのようにただ事実(劇中では性差が逆転した社会)とそれに対する思いを記述しているだけなのに、ひどく胸に刺さる。
医大での点数改竄など、すべて本当にあったこと、あるいは今なお本当にあり続けていることだ。
ゆえに読後の感想としては、フィクションである本作がどうというよりも、いびつなこの現実、今この日本社会に対し、改めてしんどい思いが込み上げたというところだ。
差別から目を背けたいのが本音だが、それだと社会の歪みは残ったまま。
作者が本作を描いたことにより、また読者が本作を読んだことにより、少しでもこの歪みの解消に繋がればと切に願う。