第5.5話
ひどく退屈な日常だった。
悪い夢を見て目を覚ました僕は、重たい体を引きずりながら学校へ向かう。
校門に立つ教師の挨拶がとても耳にうるさく響いて、憂鬱な気持ちの中、僕は玄関へ歩みを進めようとした。
その時、ふと手のひらに違和感を覚える。
季節でもないのにかじかんでいる……
【貴晶】
「……!」
誰かの視線に振り返るけど、そこには登校中の生徒がいるばかりで、本人を探し出す事ができない。
その時、金髪のショートヘアーが視界の端で揺れ、花の香り漂ってきた。
思わずその人の行く先を振り向くけれど、彼女にまったく見覚えがない……
それなのに、引き留めようと足を踏み出した。
足元で聞きなれない音がして立ち止まる。
地面に飛散するガラスの破片と、押しつぶされた風車のモチーフ。
ひどく懐かしい気分が込み上げ、思わず拾い上げて観察するが、丁寧な細工に魅了されるばかりで特別に何か感じるわけでもなかった。
だけど、僕は大切にしたいと思い胸ポケットへ。
きっと……どれくらいかはわからないが、長い間、瓶の中に閉じ込められていたのだろう。
ようやく時に触れた風車は、もう二度と……回ることはなかった……
クーちゃんと一緒 白鳥一二五 @Ushiratori
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