第2話

 土曜日の朝、何気なく目覚められた事に幸福を感じながら、たっぷりとシュガーとミルクを入れたコーヒーを飲む。これが高岡のルーティンのようなものだ。これは土日祝日に特別感を持たせる為にやっている。コーヒーを全て飲み干すとバイトに出かける準備を始め、1時間ほどで準備を終えた。


 勤務先のファミレスに着くと、すぐに制服に着替えフロアに出る。そして忙しい昼間の時間帯を終えると、清楚ないかにも女子高生らしい三人組が来店した。男にしては貧弱で女々しい高岡でも、女子高生が来ると少し気分が上がる。フロア担当は、幸い高岡のみだったのですぐに席の案内をした。


「いらっしゃいませ!3名様でよろしいですか?」


「いえ、4人です。」


よく見るとその3人の陰に隠れた、物静そうだが派手な容姿の子が一人いた。この女子グループに属するべきではなさそうだが、何か事情があるのだろう。


「かしこまりました、それではご案内いたします。」


テーブル席へ案内し、4人が席に着いた。


「ご注文の方、お決まりになりましたらチャイム等でお申し付けくださいませ。」


そう告げた高岡の顔を見て、あのがハッとした表情をし、毛穴の見当たらない顔を赤らめながら瞬時に頭を伏せた。「何か顔に付いていただろうか」と不安になりトイレに駆け込んで確認したが、そこまで整ったとは自負できない顔面に異常はなかった。

 5分ほど経つと、女子高生の席のチャイムが鳴った。


「ストローベリーパフェ1つください。」


「私はパンケーキで」


「抹茶ぜんざいを1つ!」


3人が注文を終えたところで、全員の視線が4人目の子に集まった。すると彼女は俯いたまま、メニューの「チョコレートケーキ」を指差した。すると他の3人が一斉に


「チョコレートケーキ1つください。」


「チョコレートケーキで」


「チョコレートケーキを1つ!」


と、フォローするように注文した。場が小さな笑いに包まれ、4人が「またやっちゃったね!」と顔を合わせた。

 

女子高生4人組は、1時間半ほど談笑して店を後にした。かなりの心配性の持ち主である高岡は、その日眠りに着くまで4人目の子が僕に見せたあの表情の理由を考えていた。

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拒絶に恋 葵衣 旅 @etranzer_000

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