火葬場にて

心憂き

雨、時と共に強くなる


特別 悲愴な日に

針と化した雨は

涙と共に 激しく降り始めた



最期の最期まで

哀しすぎることの連続

屍は言葉を失い

その苦しい姿のまま

炎の中に 身を投ずる


「悲しむ人がいるだけでも幸せ者だ」

誰かが骸に吐いた言葉を拾いたくなかった


今、この現状が

目の前の白骨遺体が生前憂いていたことだ

その事を本当に知っているのか?

手のひらに刺さる己の爪が熱くなる想いを冷ました



雨の止む気配は一向に訪れない


(2001.5.6/編集2018.12.21)

※現在進行形の憎悪劇の序章。

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アスファルトの割れ目から湧き出る泉をすくった 氷雨水樹 @hisame_m

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