観覧車

由良霞澄(ユラカスミ)

第1話

あの人とよく行った遊園地は来月取り壊されてしまうらしい。


-ピピッ-


私はふとスマフォを取り出すと、あの人とやり取りしていたメールを見返す。

見返していたら、いつもなら足が向かない遊園地の方角に歩みを進めていた。

いざ行ってみると、あの時はとても大きな遊園地だと思っていたのに、とても小さく感じる。それでも観覧車だけはあの時と変わらない存在感があった。カラフルな配色が昔の私にとってはとてもキラキラして見えた。

そして私は観覧車に乗りながらあの人に電話をかけた。

「また貴方と手を繋いで観覧車に乗りたかった。肩車もしてほしかった。ずっとずっと大好きだった。」

最後にありがとう、と言って繋がっていない電話を切った。それと同時にロックしていたメールたちを全部削除した。

そして頬を伝った涙を拭い観覧車を降りた。


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観覧車 由良霞澄(ユラカスミ) @zuu0108

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