第7話 森
朝早く目が覚めると、男は街を出ようと裏門に向かった。入る時に通った表の門は閂がしっかり下ろされて、固く閉ざされている。裏門は人通りの少ない裏手にひっそりと佇み、門番はいない。錆びた門扉に、草が生えている。
門扉をくぐると、岩場に入った。両脇には岩壁がそびえ、粗く舗装された道が森へと続いている。森はひっそりと静まり、鳥の声さえない。差し込む朝日はしだいに密集する木々に締め出されてゆく。漏れ落ちる光は次第に少なくなり、やがて暗闇となった。
静かな森。あの夜のように、虫の音も、獣の姿もない。しかし死んだ森ではなく、眠っているよう。暗闇の中で、朧げで巨大な森の無意識とでもいうものに、すっぽり包まれているよう。
Soiled Land @giraldus
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