高3男子と女教師の放課後の二重奏曲
南雲 千歳(なぐも ちとせ)
第1話
無事に放課後の部活動を終えた俺は、校舎の外を見ると日没までにはまだ時間がありそうだったので、それぞれの昇降口へと向かう他の推理小説研究部の部員と別れ、職員室へと向かった。
我が推小研の顧問である上田先生に、来週の水曜日にある特別授業で発表する予定の、グループ・ワークの研究課題であるアンケートを実施する為である。
上田先生は社会科を担当している若い女の先生なのだが、その受け持ちの学年は1年生で、3年6組に所属する俺達のグループが先生から直接に授業を受ける事は無い。
今日、その上田先生に会う目的と言うのは、部室での会話で実施の決まったアンケートに回答して頂いた上で、あわよくば、そうした聞き取り調査で得られた結果を上手くレポートにまとめる為のアドヴァイスなども
「クリスマスと縁遠いもの」に付いてレポートすると言う、今回のグループ・ワーク活動の課題に付いて、俺の所属グループの各面子の持っている能力を検討するならば、少なくとも調査と言う分野に掛けてはプロフェッショナル級の実力を持っており、それは学校の授業の上でも必要十分な程度には発揮してくれるであろう
野球部のサウスポーに女子バレー部の部長とか──。
それはまあ、確かに……そうだな、この後の夏休み直前に控えている体育祭とか、秋の文化祭直前に
しかし、そんな身体的な運動能力や大会などの出場経歴──。
これはどう考えても、普段の通常授業のみならず、今回の特別授業の課題として出された研究テーマをこなす上でも、もはや殆どと言って良い程、全く役に立た無い能力だ。
変化球の投げ方とか、トスの仕方とか、そんなものが特別授業の一環として出された社会科の研究活動で行う、アンケート調査やらその結果を分析する上で、一体何の役に立つと言うんだ?
正直、この俺としては、中学時代からの親友であり、他ならぬ実の妹の香織の彼氏でもある阿部や、往年の幼馴染の奈々美の事をそんな風に言うのは、内心、実に心苦しい事ではあるのだが──今回、殆ど頭を使わ無い体育方面のエキスパートとか、そんなのは全くの論外、戦力外である。
まだ阿部にこの今回のグループ・ワーク活動の話はしてい無いが、少なくともその意見は、先程、推小研の部室でどうでも良い無駄話で時間を潰した挙句、
よって、来週の水曜日6時限目に予定している特別授業での発表に備えて、今すぐにでもその課題に取り組みたい俺は、調査研究とかそう言う方面に
と言うか、今回のグループ・ワークで研究活動をしなければならない課題の科目は社会科なのだから、前回と同様、今回も勝ちに行く積もり(?)の俺達のグループにとっては、担当学年は違うとは言え、課題を出した先生と同じく、担当教科が社会である上田先生にその教えを
放課後の校舎内を職員室へと向かっている今の俺は、授業と部活を終えて疲れている。
少なくとも俺のコンディションはそんなだと言うのに、極度の
だが、放課後の職員室に先生が残っているであろう今日の内に研究課題である「クリスマスと縁遠いもの」に付いてのアンケートを実施し、かつ、これから週末に掛けて実施する本格的な調査・分析に備えて、そのご指導ご
余りぐずぐずしていると、推小研の活動報告をする本日さえも、そんなアドヴァイスを聞くタイミングを逃して仕舞うかも知れ無い。
もしそうなれば、決して勉強と言う方面で有能な奴ばかりが集まっている訳では無い俺達の課題グループが、「クリスマスと縁遠いもの」と言う捉えどころの無い難しいテーマで行った研究活動のレポートで、今回もクラスで1番を取ろうと言う俺の目論見は、
そんな具合なので、普段の俺ならばそんな危ない橋は渡ら無い所なのだが、今回は時間が押している事もあり、心身の疲労にも関わらず、今日は
陽が傾き、すっかり薄暗くなった廊下を歩いて来た俺は、職員室の前まで来ると、一度ノックをしてからそのドアを開けた。
やんちゃだったいつかの頃とは違い、すっかり自他共に認めるいっぱしの優等生になって仕舞った俺は、高校に上がってからと言うもの、学校の内外で何か不始末をしでかして職員室に呼び出しを食った事など、一度も無い。
なので、俺は
蛍光灯に照らされた明るい職員室内を眺め回すと、そこに存在している数名の先生方に
先生は、お茶の入っているらしいカップを手に持ち、書類などが乗っている自分の机の椅子に座り、その手に持つ資料をじっと眺めて、ゆっくりしている。
幸運な事に、どうやら先生は今、お暇な様だ。
気を良くした俺は、早速、活動日誌を提出するついでに、そんな上田先生を相手にアンケート調査を試みる事にした──。
「これが、今日の活動日誌です」
先生に声を掛けた俺は、今日の放課後に行った推小研の活動を口頭で簡単に報告し、既にその詳しい内容を記録済みの活動日誌を、該当のページを開いて渡した。
「ああ、ありがとう」
上田先生は、俺から手渡された日誌を持ち、その本日の欄に書かれた内容を、まるで山と積まれた小テストの採点でもするかの様に、素早く目を通し始めた。
日誌の内容は、今日、部室で活動していた出席者の名前と、各自で行った活動内容の簡単な報告である。
いつもよりも人数が多かったので、分量もそれなりだ。
もっとも、部活と称してその実、特別授業の宿題をやっていた事はおおっぴらに
先生がその活動日誌を読んでいる間、俺は何も言わず、静かに待った。
──数十秒の後、ようやく先生は顔を上げ、読み終えた日誌をパタンと閉じて、机の上に置いた。
「なるほど。今日は各自がそれぞれ、自由に活動していたのね」
「はい、部誌の編集など、特に全員でしなければならない様な事も無かったので、本日は読書をして素養を高めたり、各自の執筆中の作品に付いて簡単な議論をするなど、それぞれに必要と思われる活動をしました」
「そう。もう今日は、全員とも家に帰ったのね」
「はい」
先生の様子を見ると、何か考え込んでいる様子である。
「あの……。何か、問題だったでしょうか?」
「あ、いえっ、別に、そんな事は無いわよ」
と、上田先生はそこで
「ただ、青春してるな、と、しみじみ思っていただけ」
「そうでしたか」
……何だ、深く考えている様に見えたのは、そんな事か。
部長を務める高梨の為に、一応、顧問の先生の希望などを、ついでに
「今日の活動に付いては日誌の通りですが、今後の推小研の活動に付いて、上田先生の方から、何か、ご要望などはございますか?」
すると先生は、推小研の顧問である自分の立場に付いて述べた。
「うーん、希望……。そうね、今の所は、特にこれと言って無いけれど」
「左様ですか」
「ええ……。まっ、あなた達推小研の部活顧問をしている私としては、特に大きな問題を起こしさえし無ければ、実際の活動の内容とかその辺りの事は、特に決まった目的も無く自由に過ごしていても、取り立てて注文は無いと言うか、全然構わ無いのよ。余り部の名目と掛け離れた事をしていない限り、この部を創設した、あなた達の自由に過ごしなさい」
「ありがとうございます」
「後は……そうね、とりわけ活動熱心で無く、活動日なのに顔も出さ無い様な幽霊部員とかが何人かいたりしても、その事自体が部内での
「あ、そうですか」
まあ、確かに、美術部や女子バレー部と言った
奈々美は兎も角、桧藤が部室に来る事何て、これまで3、4回ぐらいしか無かったかも知れない。
先生は言葉を続ける。
「そう言う訳で、顧問をしている私が困る事と言うのは、あなた達が何か危険な事をやって誰かに怪我をさせたり、学校の備品を壊して仕舞う
最後に、先生はそう力説した。
「そうですか。分かりました」
「ええ。後は……いたずらにコンセントの差込口をいじって停電や漏電を発生させたりとか、そんな事は案外と毎年の様に起こるものなのよ。ああ……一番最悪なのは、ボヤ程度では済ま無いレベルの火事を起こして仕舞うパターンかしら。これは失火の罪と言って、犯罪になる事もあるから注意して頂戴。もっとも、それは部活動に付いての事だけでは無くて、普段の学校での生活全般に言える事ではあるんだけど……。あなた達も、火の元の管理には気を付けなさいね」
「はい。では、今後もそれらの事に留意して活動して行きたいと思います」
「そう言ってくれると助かるわ。一週間とか一ヶ月とか、それぐらいの期間で考えて見れば……学校内でのトラブル何て日常茶飯の事で、発生し無い事の方が不自然だけど。それでも、あなた達推理小説研究部の活動で、この学校に来てまだ一年くらいのまだ新任とも言える私の経歴に、後々まで残る様な大きな
先生が冗談めかしてそう言うので、俺も苦笑する。
部の活動報告のやりとりが一通り済んだので、俺はそろそろ本題を切り出す事にした。
「クリスマスと縁遠いもの」と言うテーマに付いて研究活動をする為の、アンケート質問とその指導要請である。
「所で、少し、お聞きしたい事があるのですが……」
そんな風に俺は子細を話し始めた。
「えっ? クリスマス!?」
話の途中でそう聞くなり、上田先生は何やら度肝を抜かれた様な表情をする。
「はい。その縁遠いものに付いて、何か、ご意見を頂きたいと思いまして」
そう畳み掛けると、先生の表情は、次第に気だるげなものへと変わって行った。
「ああ、そう……」
先生の様子が変なので、俺は質問する。
「ん? 先生……どうか、されましたか?」
そう聞くと、先生は小さな溜息を一つ吐き、疲れた表情でこう言う。
「もう、成海君。幾ら特別授業の研究課題のテーマとは言え、クリスマスがどうだとか……そう言うロマンチックな話は、私みたいに結婚もしておらず恋人もい無い、妙齢の女性に対してするもんじゃあ無いわよ?」
「あ、クリスマスって、そんなに、ロマンチックなものでしたか」
「そうね。私自身はともかく、少なくとも私くらいの年齢、二十代半ばの女性に取っては、クリスマスと言うのは、恋人と打ち合わせてレストランに行ったりする計画を立てる事も無い高校生のあなた達よりかは……それはそれはいささか現実離れしたロマンの対象なのよ」
どうやら、今の上田先生にとってクリスマスとかその手の話題は、余り楽しい気分にはなれない
俺は姿勢を正して、一応、謝る。
「ああ、これは済いません……。つい、うっかりしてまして。先生が独身だとはお聞きしていましたが、てっきり、恋人がいらっしゃるものかと」
「まっ。成海君は、お
「そ、そうですか。それはそれは……」
そう返されて、俺は何と返答して良いやら迷って仕舞い、言葉を濁す。
「まあ、研究課題を仕上げるのに、そんなに私の考えが聞きたければ、丁度いま時間に余裕のある所だし、少しで
「そうですか。これは、
「クリスマス……。うーん、そうね。クリスマスって言うのは、一般的には、職場の人とか、或いは友達とか恋人、家族と言った親しい存在……。或いは、そうで無くても、少なくとも全くの赤の他人では無い顔見知りと過ごすものよね?」
「はい」
「それと関連して、少し話は変わるのだけど……私の出身は雪国である長野県の方のだから、クリスマスやその近くのお正月の季節を思い浮かべると、どうしても、その辺の道路だとか山で行う、雪遊びのイメージがあるのよね」
長野県と言えば、
長野県に近い新潟県の事なら、俺もそれなりに知っている。
「そうですか。自分も、父の実家が新潟の方なので、お話は分かります」
「あら、そうなの? それなら、大体、近い感じでイメージ出来るでしょう? あの雪深い山奥の方……。全く、そこであった冬の楽しい記憶と言えば、雪合戦や雪だるまを作ったり、後はスキー場に行ってスキーやスノーボードで遊んだとか、そんな事ぐらいしか無いわ。それで無ければ、後は、教師になる前の大学生時代に、女友達と借りていた自分のアパートで、鍋を囲んで飲み会をしたくらいかしら」
これはやはり、マズい事を聞いて仕舞ったか?
「そ、それは……楽しい思い出ですね……」
俺は内心の苦笑をおくびにも出さず、そう言う。
すると、先生は残念そうに首を振った。
「もう。ホラ、言ったじゃ無いの……。こう言う話を始めると、その会話の行き先は、辺り一面、どこに地雷が埋められているか分から無い様な、大変突破困難な広大な地雷源になるのよ。これに
確かに、そんな独裁者の忘れ物を延々と撤去する様な作業に、俺は従事したく無いな。
「はい、済みません。ご指導有難う御座います」
「まっ、女性も18歳くらいになれば、呼び方は女の子じゃ無くて女だと言う意見もあるけど」
これは……
まあ、それに付いては良い。
今大事なのは、与えられた課題をこなす事だ。
暗い沈痛ムードからやや明るさを取り戻した先生は、話し始める。
「私が何を言いたいかと言うと、あなたの言うクリスマスも含めて、一般的な行事や流行には、この私の様に
「はい、分かりました。では、今度からはその辺りの事も配慮してお話しする様に気を付けます」
兎に角、既に結婚している人を相手にその話をするのでも無ければ、やはりクリスマスの話題には、地雷が多いのだろう。
少なくとも、その事だけは分かった。
「なら、良いけど……」
そこで先生は目を閉じ、再び溜息を
「──ああ、済いません。先生にお聞きしたかったのは、クリスマスその物では無くて、クリスマスと縁遠いものの方でした。何だか追い打ちを掛ける様で恐縮なのですが、そちらに付いてもご意見をお願いします」
「ああ、そう。……そう言えば、そうだったわね。そうね、私はクリスマスと縁遠い……」
途端、上田先生は目を泳がせて、天井とその顔との間にある虚空を仰ぐ。
「あ、いえ! そうじゃ無くてですね、今回、研究活動でクリスマスと縁遠い
「そうねえ……。こんな春を過ぎた真夏も間近の季節に、冬場に行うクリスマスと言う事柄自体が、季節的に縁遠いものの様にも思えるけど……。でも、それは単なるこの現在の時節の問題に過ぎ無いし……」
そこで先生は、
「あっ、そうだわ。例えキリスト教徒で無くても、通常ならば、家族や友人・恋人と過ごす。現代社会の日本におけるそんなクリスマスの
「はい、一般的には、おっしゃる通りだと思います」
「そうね。そうすると、この日本社会や学校の様な、普通の社会集団に所属している一方で、そこで想起されるクリスマスの一般的なイメージとは掛け離れた孤独なカテゴリ・グループにも同時に所属している私の様な
先生はストレスと動揺のあまり、頭が変な方向に働いて仕舞った様で、何やら焦点の合わ無い目で薄笑いを浮かべながら、
「それは、そ、そうかも知れませんね」
「そう。そうよ。そうに決まってるわ」
「は、はい」
「ええと……。さて、クリスマスにまつわる一般的な概念が『出会い』と『
「なるほど、『出会い』や『
「そうねえ……。うーん、つまり、あなた達3年生の場合には、それはこの学校からの卒業に当たるとするのが、一番妥当な答えじゃ無いかしら。成海君、あなたは優等生だから覚えてる事もあるんじゃ無いかと思うけど、社会科の授業で、アメリカの学者であるデイヴィッド・リースマンの『
「はい、1年生の時に、倫理の授業で習いました」
「そう。
先生は、何か買った後で取り消ししたくなる様な、高価な物でも衝動買いした経験があるのだろうか。
「……つまり、社会的自立によって得る自由とは、そう言う側面から見ると、保護や見守りから離れた、一種の孤独でもあるって事ね。『
「なるほど、そうですか。
俺は今の先生の話にいたく感銘を受け、そして思った。
来週からは7月、そして夏休みを迎え、高校生活も残り半年くらいだが、俺はその時、一体、どんな気分で卒業式を迎えるのだろう──?
それにしても、話し上手な上田先生には、何だか俺の聞きたかった質問を上手く
だが、先生、俺は諦め無いぞ!
「卒業式が大事なのは分かりますが、もっと、他に何かありませんか?」
「うーん、もっと考え付くかも知れ無いけど、今の会話で、私はこの社会に生きている人間の、その集合と離散の構造に興味を覚えて仕舞ったのよね。ヨーロッパなどの西欧社会と、中東のアラブ社会、そして多くは家父長制と年長者を敬うと言う、
はぁ?
卒業式の話が、一体どうしてそんな高校生には理解し
俺が聞きたかったのは、クリスマスの話では無くて、クリスマスと縁遠いものの話なのだ。
て言うか、今の話、レポートにする時に、どうやってまとめりゃ良いんだ?
折角、研究課題の科目と同じ社会科の先生に話を聞くのだから、レポートのボリュームとして、今の卒業の他に何か無いかと思ったが、この際、もうその話でも良い。
俺は何としてでも、提出するレポートと発表の時に点を稼げる様な、そんな話題を引き出す為、自分の興味ある事に頭を切り替えようとする先生に食い下がる。
「えっ。じゃあ、先生は、これからご自分の研究に没頭するお積もり何ですか? クリスマスと縁遠いものに付いて、もう少し詳しく、卒業だとかのお話をお聞きしたいのですが」
「ええ、そうね。でも、私はこれから家に帰って、
「それは、大変ですね」
「ええ。成海君、今日は良い研究テーマを見付けてくれて、ありがとう。それにしても、あれこれと調べて自分なりの学説を立てるって、本当に楽しい時間よね? あなたのしている特別授業の課題のアンケートに付いては、その研究が一段落したら、その後にまた追加で意見を考えてあげるから、来週の月曜日にでも、またここに来て頂戴」
「え? あ、はい。ありがとうございます。あの、その時に、アンケートの調査結果のまとめ方などもお聞きして宜しいでしょうか?」
「ええ、良いわよ。統計的なデータの扱い何て、高校の数学でも扱ってるけど、それはあなた達のクラスで習う範囲とは限ら無いものね。……あっ、いけない、もうこんな時間じゃ無いの! 夏場は日が長いから、仕事が終わると、つい、職員室でダラダラして仕舞うわ……」
そんな事をこぼしながら、上田先生は机の上の物を掻き集めて、自分の鞄に仕舞い始める。
「それじゃあ、遅くなると行け無いし、私はこれで帰るから、成海君も、もう帰りなさいね?」
「は、はい、分かりました。ありがとうございました。これで、失礼致します」
「ええ。ああ……今の時間、この辺りの図書館は開いているかしら……」
俺は職員室から出て、自分の靴が置いてある3年生用の昇降口の方へと歩きながら、思った。
先程のやりとりから、それなりに美人な上田先生にどうして今の今まで男っ気が無いのか──何と無くではあるが、俺には分かった気がする。
そう言えば、上田先生のご両親のどちらかは、どこかの大学の先生だとか聞いた記憶がある。
これは、先生と同じ様に、興味を覚えるとまっしぐらな研究肌の男性で無いと、肌が合わ無いと言うか、付いて行け無い所があるかも知れない。
そんな先生の研究の虫とも言える性格が、これまで男性を遠ざける元になっているのだろう。
まあ、この俺には、全く関係無い話だが──。
それじゃあ早速、今から
生徒は誰もいない夕暮れの校舎を、俺は闘志に燃えながら歩いて行った。
(了)
高3男子と女教師の放課後の二重奏曲 南雲 千歳(なぐも ちとせ) @Chitose_Nagumo
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