第2話 出発
あ、あれ?
何かおかしい…
なぜ俺は今牢屋の中なんだ?
なぜ目の前に槍を構えた化け物がいるんだ?
「おい、46番!何をしている
さっさと牢から出ろ!
クウリ様がお呼びだ」
よく見ると確かに牢屋の戸は開いている。
どうやら出ていいらしい。
しかし、クウリ?…どっかで聞いたような?
どうせ何かのゲームだし、とりあえず付いて行ってみるか!
______________________________
どうやらどこかのお城の中らしく長い螺旋階段を登らされ大きな扉の前に着いた。
「お待たせ致しました、クウリ様
かの者を連れて参りました。」
「おぉ、よくやったイーブよ、お前はもう下がってよい。」
「ははっ、」
あのトカゲみたいな怪物と違ってクウリというやつはなんだか優しそうだが、見た目がなかなかに風格がある、ゲームなんだし恐らく魔王か何かだろう。
「よく来たな新たな勇者よ、まずおぬしの名前を聞こう」
お、ここで名前を決めるのか、なんだかRPGっぽいし、まあ王国はこのゲームを遊んでからでもいいか。
とりあえず名前はいつものやつで…
『エルス』と
「ほぉ、エルスと言うのか
では勇者エルスよ、おぬしに頼みたいことがある」
ん?俺が勇者?この人は魔王じゃないのか?
「なあ、1つ質問いいか?あんた一体誰なんだ?」
「わしか?わしはこの世界の支配者、魔王クウリじゃよ」
「はあ?魔王!?
俺が勇者なら普通あんたを倒すもんだろ!?」
「何を言っとるんだ、勇者は世界を救う者だろう」
「はぁ?…ってまさか!?」
ここで俺は先日友人から借りた(押し付けられた)ゲームを思い出した。
何やら魔王が味方の超クソゲーとかいって渡され、やってみたものの、まずセーブ機能がない、やられたら最後で、さらに難易度もかなり高めで正直途中で投げ出したゲームだ…
そうかあの時ギャルゲーに変えちまったからそのまま…
「おい、エルスよ、どうした?」
「あ、あぁ、なんでもないなんでもない
で、俺は何をしたらいいんだ?」
「おぬしには東の国の暴君サファリスの手から国民たちを助けてもらいたい」
やっぱりそうだ…
終わった…俺の王国ぅ…
「わかった…とりあえずやってみるよ…」
「なんじゃ、行きたくなさそうだな?」
「あんたにはわかんないだろうけどよ
俺はあと少しで自分の王国を作ろうとしてたんだよ…
アイリスちゃんとかエミリーちゃんとかユリちゃん達と幸せな世界を築こうとしてたの!
それがいきなり世界を救ってくれなんて…」
「なんだ、おぬしは国が欲しかったのか
ふむ…では、おぬしが東の国を救ってくれた報酬として、その国はおぬしにやろう」
「マジか!?…あーでも俺は別にこんなトカゲみたいな奴らの国なんていらねーよ…」
「とかげ…?リザードマンのことか?おぬしリザードマンが嫌なのか?
しかし、東の国は確かヒューマンの国だったぞ?」
「…何!?」
ヒューマン!?
ということはつまり人間ってことだよな!
なら、ここで俺の王国を作れば問題はないよな!
ぬふ、むふふ、ふははははははは!!!
「いいだろうっ!
この勇者エルスが東の国を暴君の魔の手から救ってみせよう!」(決まった…)
「それでは勇者エルスよ、おぬしの健闘を祈るぞ!」
こうして俺の
この先どんな困難があるかも知らずに…
というか困難しか無いことも理解せずに…
「待ってろ、アイリスちゃん!エミリーちゃん!ユリちゃん!
俺が今すぐ救ってやるからな!」
人生の選択を間違えました… 宵の黒猫 @yoi96
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人生の選択を間違えました…の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます