たった一読で、何度も。

滑らかな起承転結は、読み進める人の手を次へ次へと誘い、爽快な読了感を演出してくれる。
言ってしまえば使い古された「メリーさん」という題材は、お洒落な味付けでがらりとその姿を変え、独特の雰囲気を湛えた物語に成る。
各都道府県ごとに、軽快な語り口と共に紹介される観光名所は鮮やかな彩りを添え、美しい演出として機能する。

10分で読み終えてしまうほどの短編の中に、これほどの仕掛けと内容を詰め込み上手く仕上げたその技術たるや、と賞賛するしかない。
一度読むだけでも、幾度も「何か」を感じるところを発見するだろう。
メリーさんは、そこにいる。

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