第4話 ***


『速報です。本日○○地区の13歳以下の少年少女が数十名、いきなり失踪するという事件が起こりました。警察では、何らかの事件に巻き込まれたとものと見て、調べており……』


 “狂都”


『家族は失踪届けを出しており、警察では行方不明事件として調べており、尚、**さんの机の上には真っ赤に染まった破られた原稿用紙が……』


 “響都”


『ココに大金があるわ。これで私の……』


 “郷都”


『大人は彼の声をまるで人を惑わす“笛”のようだと』


 “凶都”


『……僕は誰だ』


 “境都”


『そうだぴぽ。こどもだけの特別なお祭りなんだぴぽ。今聞こえている笛の音についていけば着ける楽園なんだぴぽ。さぁ、笛の音が聞こえているうちに一緒に』


 そして、


『反転が始まる』


 様々な声が混じり、世界は響きを成す。

 世界の響きはやがて、彼らに何をもたらすのか。


 それは答えを見つけるまで分からないままである。






――


――――


――――――




「なぁ、聞いたかよ?」

「何が?」

 カフェで男性二人が話していた。

「**のことだよ」

「あー、アマチュアで物書きをしていたっていう?」

「そう。アイツ、突然失踪して今行方不明だってよ。届けも出されているらしいぞ」

「マジかよ」

 一人の男がその話に驚いて目を見開いた。

「あぁ、最近何か思い悩んでいる節があったから、それで失踪したんじゃないかっていう噂らしいぜ?」

「思い悩むって何を?」

「そりゃ、アイツ物書きだったから、そのことについてじゃねぇの?」

「そんなに思い悩むようなことかねぇ? 文章書くだけだぞ」

「確かに、それ、言えてるわ」

 そう言って男二人は笑っていた。

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響都イメジェン 黒幕横丁 @kuromaku125

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