傷
黒宮 圭
傷
僕は、誰かが傷つくのを見るのが嫌だ。
何が嫌なのかって、別に痛そうだからってわけじゃない。ただ、その人が傷つくのが嫌なんだ。
自分を傷つけようとする人も、傷つけられてしまう人も見たくない。その傷は、一生消えないものになってしまうから。
確かに、自分を傷つけたくなってしまう気持ちもわかる。相手を傷つけて鬱憤を晴らしたくなる気持ちもわかる。
でもね、自分のための傷なんて、なんの価値もない。その傷を負ったり与えたりする事で、周りの人の心は痛くなるんです。
「そんな人はいない。何も知らないお前が、知ったような口を聞くな」と思ったかな?
うん、そうだね。僕は君のことを知らないし、こんなこと言ったって気に触るだけ。それはわかってる。でもね……
どうせ負う傷なら、他人のために負いませんか?
僕は、他人のために傷つく。だってその方が、何倍もかっこいい勲章のような気がするから。
傷 黒宮 圭 @kuromiyakei0215
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます