第5話:ルミス=エリック

 私とエルドはマルクの村にあるギルドに冒険者登録に来ていた。ギルドの中は想像よりも活気がありとても賑やかだった。受付台の奥に受付嬢と呼ばれる人族の女が2人立っており受付台の手前にある腰掛け席に座った。エルドは腰に付けていた刀剣と布袋を下ろし、一呼吸してから話しだした。


『私の横にいるこの子の冒険者登録を済ませたいのだけれども……。』


『冒険者登録ですね。今すぐ紙とペンを持ってきますので少しお待ちください。』


 右の人族の女は後ろの取っ手付きの大きな木箱の中を漁りだした。左にいた人族の女は私達に冷水を注ぎ提供してくれた。


『先程、ペルドを食していてせいで口の中が乾燥していたところだった。感謝する!!』


『私も口の中がカラカラでした。受付のお姉さんありがとうございます。』


『いえいえ、ギルドとして冒険者を支援することは責務ですから。』


 すると、木箱の中を漁っていた人族の女が紙とペンを持ってきた。

『ここの欄に自分の名前と隣に指紋を押していただければ登録完了です。』


『承知した。エルド、私の代わりに名前を書いてくれないか?』


『ごめん、ごめん。りょーかい!!』


 そう、私は人族の言語は話せても文字や文化などは無名である。事あるごとにエルドに頼む必要がある訳だ。

 


 そして無事に冒険者登録を済ませ、私は白ジルを受け取り首に付け下げた。地味な色合いだったが私の髪色と合っていたので悪くはなかった。


『アルカナタスも無事に冒険者になったことだし、何か簡単な依頼でも受けてみましょう!!』


『うむ!! 』


 すると、周囲のテーブルにいた人族の男2人組が私達の元へ歩いてきた。1人は髪がなく、もう1人は頭が爆発したような髪型をしていた。

『ねぇねぇそこのお姉さん達〜キャワいいね〜!!』


『俺たちと一緒に遊ぼうぜ!! いい、アソビバ知ってるからよ!!』


『失せろ下劣な人族が!! 私に触れるな!!』


『キャワいいからって調子にのって〜そこもまたイイネ〜〜!!』


『駆け出し冒険者だろ!! 俺たちがあんなことを教えてやるから!! ついて来い!!』


 すると、隣にいたエルドが関門で見せた金ジルを見せつけた。

『私はアルカ=エルドという者だ!! 冒険者の心絵なら私が教えるつもりだ!! 私の友人に構うな!! 颯爽に失せろ!! 』


 冒険者達がエルドの言葉を聞きつけ周囲を取り囲む。


『あの、有名な流離の冒険者か!? 』


『ここは一旦引いた方が……イイネ。』


『行くぞ!!』


 眼前にいた人族の男達は駆け足で去っていった。それと同時に周囲にいた冒険者達によって質問の嵐が吹き荒れる。

『流離の冒険者さん、俺と握手してください!!』

『私達のチームに入りませんか???』

『一緒に依頼を受けませんか???』

『何処から来たんですが???』

『次の行き先は……………。』


 冒険者達が私とエルドを押し潰しながら質問責めにしたが何とか掻い潜りギルドの外にある広場へ脱出した。


『エルドのお陰で助かった。もしも、あの人族の男達との間に入ってくれなければ危うく殺すところだった。』


 エルドは人族の男に発言した口調とは打って変わって通常通りに戻って話す。

『気にしなくていいよ。私も駆け出しの冒険者の時によく絡まれたことがあるから気持ちはよく分かる。だけど、殺しちゃダメだよ、アルカナタス。』


『できる限りは努力するつもりだ。』


『しかし、あの人達に絡まれたせいで依頼を受注し損ねてしまったし、かといって戻る訳にもいかないし。うーん………。』


 すると、私とエルドが会話をしている後方から1人の人族の男が声を掛けてきた。

『私の依頼を手伝っていただけませんか?』


 私とエルドが振り向くと黒髪の伊達男がベンチといわれる椅子に腰掛けていた。


 この人族の男!? 何者だ!! なんのつもりかは分からないが今は黙っておこう。


『その依頼とはどのような内容ですか?』

『この村の外れの洞窟にしか生えないピルマとい薬草を採取するという簡単な依頼です。そちらの駆け出しの冒険者さんでもこなすことができます。どうしますか?』

『私を甘く見るな!!』

『すみません。少し上から目線すぎましたね。』


 エルドが黒髪の男の提案に乗る。

『たしかにそれならば、アルカナタスの最初の依頼に見合っています。分かりました、ご一緒させて貰います。』

『エルドの判断なら仕方ない。私も受け入れよう。』

『ありがとうございます。申し遅れましたが私の名前はルミス=エリックと言います。エリックと呼んでください。』

『私はアルカ=エルドで隣にいるのが…………。』

『アルカナタスだ。これからよろしく頼む。』

『美人のお2人方に囲まれて依頼を出来るなんて夢のようです。不束者ですがよろしくお願いします。』


 こうして、私、エルド、エリックの即席のパーティを組み村外れにあるピルマ採取の依頼をすることになった。


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 ご覧いただきありがとうございます^_^投稿が遅れて申し訳ないです。次も出来るだけ早く投稿したいと思います^_^

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神獣者アルカナタス ビスケ @BISUKE0527

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