謎解きのないミステリーと題されていますが、オチの予想がある意味最大の謎解き。そしてオチが分かってからもう一度読み返すと「あ、そういう意味だったのねw」と笑わされてしまいます。深く考えず読んでみて、ぜひ騙されてみて下さい。思わずクスリとしてしまうオチは必見です。
最後まで読んで、「なんと!」「そういうことか」「確かに!」と驚きの言葉が口から出てしまう。そんな意外性が詰まった箱のような作品集です。
どのお話も真相を遠巻きに描写して読者をじらした後で最後に種明かしがきます。想像力と構成のうまさで楽しめました。
一話一話が独立していながらも、そのひとつひとつをおざなりにしないという作者さんの気持ちが伝わってくるようです。謎解きだけがミステリーではないという主張が、本作を通して世界に届きますように。
日常や色んな視点から捉えたものをミステリー風に仕立てたこの一作。面白い着眼点だと思いました。物語も読みやすく、オチもなるほどと納得してしまう形で終わっています。うまい具合に真相を隠しており、伏線の書き方や回収が肝と言えるミステリーではそこが難しいのですが、これからミステリーを書きたいと思っている人は参考になるのではないでしょうか。肩肘張らずにさっと読めますので、是非読んでみてください。