第2話迷宮都市での昼
「お兄様。取り敢えず、ここから冒険者ギルドの方向へ向かいましょう」
「そうだね。冒険者ギルドの近くだったら色々な物があるだろうし」
「それよりも、どうしますか?今日は無理ですけど、明日から迷宮に入りますか?」
「んー。優恵はどうしたい?」
「一応、命が掛かってますから万全を期して挑みたいので、明日は準備に使いたいです」
「…そうだね」
「…やっぱやめます。明日から挑みたいので、今日中に準備は終わらせましょう」
…。態度に出ちゃったか…。俺としてはやっぱり楽しみだし明日挑んでみたかったんだけど、察しちゃったか。これも気をつけるようにしないと…。
「気を使わせちゃってごめん」
「そういえば、王様に用意して貰った物で大抵のものが揃っている事を忘れてました。だから、わざわざ明日一日を潰す必要なんて無かったですね」
「…そうだね」
「じゃあ、昼を食べて、ギルドに行った後に少しだけ準備をしたら、明日の為に早めに寝ましょう」
「そうだね。じゃあ、昼食べるか。優恵どうする?そこらへんにある露店で食べていくか、お店を探すか」
「そうですね…。露店にしましょう」
「じゃあそうしよう。沢山あるけど、どこらへんにする?」
「取り敢えず、時間に余裕はあるので、人が並んでるところにしましょう。そこでしたら、ハズレということはないでしょうから」
「じゃあ、そこらへんかな?」
「そうですね。お金も用意して貰っていますし、並びましょうか」
「うん」
取り敢えず並んだが、何が売ってるかも分からない。まあ、それはそれで面白いからいいんだけど…。それに、人もたくさん並んでるから、ハズレってことはないだろうし。それにしても、武器を持ってる人が多いな。二人に一人ぐらいの割合で持っている。流石に小さい子供達は持っていなかったけど、俺等ぐらいの年齢の人は大体が持っている。普段着のままなのはミスったかもしれない。
今、俺と優恵は、マジックリングの中に入っていた普段着を来ている。王様の選択は割と完璧で、貴族の服とか、そういったものではなく、迷宮都市でも浮かないですんでいる。
かといって、みすぼらしいというわけでは無いから、領主さんに会った時も何も問題は無かった。
「お兄様。何が売っていると思いますか?」
「んー、やっぱり、串系の何かだと思う」
「私もそう思います。やっぱり、使われているのは魔物の肉とかなんでしょうか?」
「本には、魔物の肉のほうが一般的って書かれてたし、迷宮都市なんだからそうなんじゃない?」
「ちょっと不安ですね」
「そう?…馬車で食べたやつとかも魔物のじゃないの?」
「違うらしいですよ?私達の世界に魔物がいない事を考慮してくれていたらしいです」
「…どこ情報?」
「執事さんです。他にも色々と質問をしましたよ」
「へ、へぇ」
もしかして、執事さんがあんな感じだった理由もあるんじゃ…
「?」
…普通にありそうで怖い。優恵は空気を読むのは下手だったりするからな…
「どうかしましたか?」
「い、いや、特に何とも無いよ」
「そうですか?」
「う、うん」
何を質問したんだろうな?…分からない。全く思いつかないぞ?
…まあ、いいか。
列は半分ぐらい進んだ。買った後の人を見たが、やっぱり串系の物だった。これだけじゃ足りないだろうから、他にも何か買わないとな。
ご飯を食べた後は冒険者ギルドに行く予定だけど、楽しみだな。やっぱり、異世界と言ったら冒険者だし。
「次のひ…恋人さんかな?」
「え、ちが」
「そうなんです」
「え!?」
「今日ここに来たばかりなので、ここの事を教えてもらえませんか?」
「教えたいんだけど、商売中だから無理なんだ。ごめんね」
「こちらこそ、気を使わせてしまってごめんなさい」
「大丈夫だよ。それで、何本買っていく?」
「…どうします?」
「じゃあ、…10本で」
「150ßだよ」
「はい。分かりました。因みに、何の肉を使っているんですか?」
「迷宮で取れるオークの肉を使っているよ」
「そうなんですか。教えてくれてありがとうございます。あ、150ßです」
「…うん。ちょうどだね」
「ありがとうございました」
「どういたしまして」
うん。後で優恵には質問するとして…やっぱり、オークいるんだな。
「お兄様。10本も頼んで問題なかったんですか?」
「問題ないと思う。…それよりも、なんで恋人って言われた時に否定しなかったの?」
「…。そうした方が話が円滑に進むと思ったので…」
「そう?別に否定しても対して変わらなかったと思うけど?」
「否定されるよりは肯定されたほうが気分は良くなると思いましたので…。まあ、あまり意味はありませんでしたけど」
「…そ、そう。…そういえば、これどこで食べる?食べ歩きはあれだから…」
「そうですね…。じゃあ、そこの路地を少し曲がったところで食べましょう」
「そうしようか。じゃあ、行くよ」
「はい」
路地に少し入ったが、思っていたよりも全然綺麗だった。もう少し、汚いと思っていた。
「じゃあ、食べましょうか」
「そうだね。どうぞ」
「ありがとうございます」
「…お、思ってたより美味しい」
日本で言うと、上質な豚肉を焼き肉のタレで食べているような感じだ。
「そうですね。これなら、10本でも問題無かったですね」
「優恵は何本食べる?」
「…じゃあ、4本食べさせて貰います」
「そう?じゃあ、俺は6本食べるね」
「はい。取り敢えず、一本貰いますね。はい、口を開けてください…」
「え?あー」
うん。やっぱりおいしい。つい、口を開けちゃったけど問題ないよね?
「じゃあ、次は交代ですね」
「え゛?」
「やらないんですか?」
「いえ、やらせて貰います」
「それでいいんです」
「はい、あーん」
「あーん。ん。美味しさが増しました♪」
「そう?なら良かった…」
…やっぱり、暴走してる。やばいな。これは、制御してくれる人を探すのをしっかりやらなきゃまずい。俺じゃあ止めることは出来ない。まあ、止める気があまり無いっていうのがあるかもしれないけど…。
やっぱり、優恵には楽しんで欲しいから…。
異性の友達がほしい〜最大の弊害は妹です〜 引きこもり隊 @Hikikomoritai
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