第10話 ここまで出演したみんなでご挨拶

 学校から帰ってきたら、妹の未奈美がおかんむりでした。

「遅い!」

「ごめんね、生徒会遅くなっちゃった」

「土曜日なのにー!パフェが!私のパフェがあああああっ!」

 激おこです。圧がハンパないです。


 文化祭も近いので、生徒会は全員土曜日出勤でした。

 帰って来たらもう2時です。うわぁ……

 こんなに遅くなるんだったら、軽々しく「帰って来たらパフェ食べに行こうか?」って言うんじゃありませんでした。


「すぐ着替えて来るからちょっと待ってね」

「制服で行けばいーじゃん!すぐ行こう!今行こう!」

 未奈美はワンピースでおめかし。

 自分だけは戦闘態勢完了です。この子は……


 メンドくさいので、もう妹の言うがままにしました。はっはっは。


******


 電車に乗り、目的地へ……

「ねーお姉ちゃん、あの制服可愛いね?」

「あー、超有名なお嬢様学校だね。」

「私も中学あそこにしようかな?」

「庶民は身の程をわきまえようよ。」


 やはり中学生とはいえ、気品のオーラが違います。

 隣にいるスーツの女性も凛々しくて素敵です。

 お母さんじゃないよね?若いしお姉さん?それとも先生?

 とにかく、住む世界がそこだけなんか違っています。


「くすっ、ちゃんと駅まで立ってないと、みんなにばれちゃいますよ?」

「い……いや……リモコン……止めて……お願い……」

「だーめ、先生は私のペット……ですよね?」

「は……はい……」

「土曜日なのに先生はメール1つで来てくれる。期待してたんですよね?」

「は……はい……」

「いい子ですね。ご褒美……」

 ポケットの中に入っているリモコンバイブのスイッチを一つ強くした。

「んくっ!……ん……んっ……」

「くすっ、声出さなかったですね?偉い偉い」


 目的の駅に着くまでずっとその2人を見てました。

 電車の音で何をしゃべってるかゼンゼン聞こえなかったけど、可愛いお嬢様と凛々しいスーツのお姉さま。

 はあ……眼福眼福。


******


 改札を降りると、さすが土曜日。

 結構な人混みです。

 この格好で来るのはどうかと思ったけど、結構制服も多いです。

 するといきなり未奈美が、部活帰りっぽい2人組を見つけて言いました。

「ねーお姉ちゃん。あの人たち網持ってる!魚とるの⁉」

 大声でそんな事言わないで。お姉ちゃんちょっと恥ずかしい……

「あれね……ラクロスって競技に使うんだよ」


「先輩、またちゅーしたくなりました?」

「お前いきなりおかしいだろ‼」

「ポッキーゲームでもいいっスよ」

「そうじゃないよね⁉」

「何がしたいですか?」

「まずお前を善導したいよ!」


 先輩らしき人が怒鳴りっぱなしで、真っ赤になってます。

 なんで後輩らしき人が怒られてるのかはよくわからないけど、たぶん部活の事だよねぇ?

 体育会系って怖い怖い……

 こんな改札前で怒鳴らなくてもいいと思うんだけど……

 頑張れ後輩!きっと良い事あるさ!


******


 お目当てのカフェに到着

 入ろうとしたとき、入れ違いの2人連れに目を奪われました。

 うお!美人2人……ってか顔似てるけど姉妹かな?

 服装ゼンゼン違うけどね。


 妹は制服。ちょっとだけギャル入ってる。

 姉はネイビーカラーのシャツとマキシスカート。ガーリーで清楚系


 美人姉妹と隣の未奈美を見くらべて、はぁ……とため息をついた……

「なんだかよくわかんないけど、今すごく失礼な事考えたでしょ!」

 可愛い妹の抗議をガン無視して、美人姉妹の後姿を見送りました。


「こういう所に来ても、他の女に色目使わなくなったよね、お姉ちゃん。」

「うん、ごめんね美由紀ちゃん。今までお姉ちゃんどうかしてた……」

 完全に私のものになったお姉ちゃん

 何回も根気よく再調教したかいがあった。

「帰ったらいっぱい愛してあげる。お姉ちゃん」

「うん……気が狂っちゃうくらい……愛して……」


******


 席に座って、パフェを頼みます。

「文化祭なんて無くなっちまえええええっ!」

 ビックリ!

 ちょっと離れた席から、私のシンパシーを思いっきり揺さぶる叫び声が!


 叫んだ本人は、慌てて周りに頭を下げる。

「みっともないですよ、会長」

「だってぇ~、土曜日だよ?文化祭なんて実行委員会に丸投げでいいよぉ~」

「会長がいないと決められない事も多いですよね?あきらめて下さい」

「あー、香奈ちゃん冷たい!ねえねえ、香奈ちゃんのパンケーキおいしそう」

「一口食べます?」

「あーん♡」

「……」

「あーん♡」

「……」

「あーん♡」

「はいはい、わかりました」

 圧に負けて、フォークに一口パンケーキを刺して、会長の口元へ……

 ぱくっ

「ん~、美味しいよぉ~」

「それはよかったです」

「えへぇ~、香奈ちゃん優しいねぇ~、大好き~♡」


 魂の叫びを叫んだ主は、後輩っぽい子に餌付けされて幸せそうに笑っています。

 いいよね。文化祭に貴重な土曜日を奪われた後のスイーツは旨かろう。

 このとはいい酒が飲めそうだぜ。

「未成年の飲酒は禁止だよっ!」

「お姉ちゃんの何が見えた⁉」


******


 おっ、パフェ2つ来た来た……

 と思ったら、違うところかーい!(外食あるある)

 姉妹っぽい二人の所に行ってしまった私達の(違)パフェ。

 お姉ちゃんは私とタメくらいかな?

 妹は未奈美より年上っぽいし大人しそう……

 やっぱ姉妹は、仲良きことが美しきかな。

 ケンカもするけどね?未奈美お子ちゃまだし……

「なんだかよくわかんないけど、今すごく失礼な事考えたでしょ!」


「お姉ちゃん、もうあきらめて私の事好きになってよ」

「おかしな発言を許可した覚えはありません」

「だってあれから毎晩   」

「はいはいオッケーオッケー!ちょっと黙ろうか⁉」

 パフェを1匙すくって、妹の口にねじ込む。

「これって……恋人同士がよくやる……あの?」

「流れ的に完全に違うよね⁉ってか何故真っ赤になってる⁉」

「違うの?それじゃお姉ちゃんは、毎晩毎晩自分の性欲を満たすためだけに私の恋心と身体を   」

「オッケーオッケー!人前だからね!もう一回黙ろうか⁉」

 パフェを1匙すくって、妹の口にねじ込む。


「仲いいよね、あそこの姉妹」

「パフェ来てもやらなくていいからね、お姉ちゃん」

「ん?それ「押すなよ押すなよ」的なフリ?」

「調教するよ⁉」


******


 ようやくお目当てのパフェが来ました。

「ん~、美味しい!」

 姫様はご満悦であります。


 隣にOLの2人組が座ってきました。

 美人さん2人組。若いけどデキるって感じ。

 ちょっとカッコいいぜ。


「ちょっと昼食遅くなっちゃったね」

「こんなに無駄にダラダラ長くて時間浪費感の激しいプレゼン初めてですよ」

「会社からは「直帰OK」だって。ゆっくり食べましょう」

「ですね。美咲みさき先輩」


 昼食兼軽めの夕食にパスタを頼む。


「ありがとう、梨花りか

「まだ完全に許した訳じゃないですよ?」

「わかってる」

「先輩のした事は、それだけ大きかったんですから」

「それもわかってる。でも……ありがとう……」


 いやー……内容よくわかんないけど……

 なんか大人の会話してる!

 So Cool!そしてちょっぴり意味深!


「パフェおいしー!」

 こっちは子供だなー。

 当たり前だけどね?うん。


******


 お目当てのパフェも制覇し、姫様も私もご満悦

 カフェを後にし、駅に戻ります。

 切符を買っていると……


皐月さつき姉ちゃーん!」

 改札内に響く元気な声

 改札口から小っちゃな女の子が元気よく飛び出してきました。

 それを私と同じ年くらいの女の子が出迎えていました。

 あ……小っちゃい女の子、うれしさのあまりお姉さんにタックルしたよ。

 お姉さん大丈夫か?


「一人で来れたよ!皐月さつき姉ちゃん!」

「あ……あはは……トモちゃん偉いね?でもお腹にタックルは……意外にダメージくるかな?」

「ごめん、大丈夫だった?」

「大丈夫大丈夫……ははは……」

「傷ものにしちゃったら、私責任取るからっ!」

「あー……そうだったねー……私お嫁さんだったね……」

「今日も一緒にお風呂入って一緒に寝ようね?」

「うちマンションだから、一緒に入ったらお風呂狭いよ?」

「んじゃいっぱいくっつけるね?」

「そっかー、そう来たかー……ははは……」


 なんかお姉さんのほう、顔色さえないなぁ?

 タックルのダメージが地味に効いてるのか?

 やっぱり女の子はお腹大事だね。うんうん。


******


 帰りの電車、なんとか座れました。

 隣は、ウチの高校の制服2人

 三つ編みの子はタメだよね?クラス違うけど……

 隣の美人さんは3年生だな。

 どっちも見たことあるけど、話したことないなぁ……

 文化祭準備で今まで頑張ってたんだろうな。ご愁傷様


「結衣先輩も文化祭の準備だったんですね?」

「うん。クラスのメイド喫茶の準備」

「え?結衣先輩メイドやるんですか?」

「う……うん……恥ずかしい……」

「メイド服ってどんな感じのですか?」

「普通に紺色っぽいやつ。今日胸元直すから持ってきた」

「ちょっと見たいです。家に来ませんか?」

「え?だ……だって、胸元きついから……直さないと……」

「だめ……ですか?」

「い……いや……いいよ……お邪魔します……」


 真っ赤になってる先輩

 ですよねー。

 メイドコス品評会って、どんな罰ゲーム?

 ってか、三つ編みの子もすごい事言うよなー。先輩に……

 地味っぽいのに、かなりの鋼鉄メンタルだなー

 でもでも…… 

 この先輩美人さんだし、私もちょっと見てみたい。


 なんてバカなこと考えていたら、2人は次の駅で降りました。


******


 ウチの姫様はお腹一杯になったからなのか、私にもたれかかって寝ちゃいました。

 食欲と睡眠欲に忠実です。

 超可愛いです。


「ん……おねえちゃん……おそい……」

 よっぽど私の事待ってたのでしょう。ごめんね未奈美。食い物の恨みは怖いね。

「また……ちょうきょう……しなきゃ……」

 今度言ったら、ほっぺツネって叩き起こす!


 だいたい調教ってどこで覚えてきた?

 小説やマンガじゃないんだし……

 そもそも、百合って感覚がわからない。

 今の世の中「じぇんだーふりー」っていうけどさ、ワタクシノーマル。

 女子2人連れなら百合って訳ではないよね?

 それなら今日たくさん女子2人連れみたけど、あれ全部百合?

 んな訳ないじゃん!

 フツーに姉妹か友達でしょ!

 ってか、姉妹で百合だったら近親相姦だよ。おかしいでしょ!


 まあ……未奈美がお年頃になったら、笑い飛ばしてやろう。

 「お姉ちゃんを調教して犬にしていた」という発言

 なんだよそのエロティカ脳みそ。

 黒歴史として大いに恥ずかしめてやる!

 黒歴史がイヤなら、ホントにお姉ちゃんを調教して犬にしてみろ!

 なーんてね?あははは。


 と……バカな事を考えていると……

「んー……おねーちゃん……しゅきい……」

「はいはい、お姉ちゃんも未奈美大好きだよ」

 寝言言ってる未奈美が超可愛いので、ナデナデして上げました。

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逆さまの天秤=百合って、ガチでもイチャコラでもほっこりでも「年下がタチ」って方が燃えませんか? 鮮魚店のおぢさん @jinjin4989

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