最終話「街が魔界に!? 決戦、サタニア=デモニア!」
〈前回のあらすじ〉
〈本編〉
「大丈夫かなぁ……」
「何が?」
ちびちびとお茶を飲んでいた優姫が声を漏らし、こころがその言葉に反応した。
「朝方に出ていったけど、まだ帰ってこないし、そもそも信じて良いのかなぁって」
「そう、だね……」
窓の外を見れば既に陽は大きく傾いて、夜の到来を告げている。
ドラゴニアが神谷家を後にして四半日以上が経過し、不安と心配が一同の胸に生じつつあった。
そんな時だった。
「これは……悪魔だぜ!」
クルルが叫んだときには、全員が異変を感じていた。
魔力の感知能力が低い優姫やこころですらゾッとするような強大な魔力反応の出現。
(やっぱり――?)
疑念を抱きながらも、何も言葉を交わすこと無く魔法少女たちは飛び出していった。
◇◇◇◇◇◇◇
「サタニア様……見ていてください。今こそ、悲願成就の時です」
中津里駅ビルの屋上で独り言ちたサタニア=デモニアが、手を頭上に掲げた。
すると円形の魔術陣が10個ほど展開され、魔力の流れを示す黒き道で繋がって1つの木のように空中に浮かんだ。
「さあ、善も悪も混ざった中途半端なこの世界を、魔界へと変えよ!!」
その一言で、大木と化した魔術陣の最下端から一本の流路が下りてサタニア=デモニアの背後にある球状の「魔力源」に接続する。
「魔力源」から魔力を吸い上げた木は、丸い葉から禍々しい漆黒の光と共に瘴気を放ち始めた。
「魔界から直接行けなくなり、ニンゲン界を経由しようにも術式が安定しない。ならば……ニンゲン界を魔界にしてしまえば良い。そして、それが出来るのはワタシだけ――」
「サタニア!!」
「……来たわね」
突如聞こえた叫び声に、サタニア=デモニアが浮かべていた恍惚とした笑みは姿を消した。代わりに浮かんだのは、忌々しげな表情。
ブレイブカリバーを向けてブレイブが怒鳴り、その隣でハートが問う。
「来ないわけが無いでしょ!」
「何を企んでるの!? サタニア!」
ルスとエスクリダオを含めて4人の魔法少女に敵意を向けられてもまったく動じずに、サタニア=デモニアは答えた。
「簡単なことよ。この世界を魔界に変える」
その言葉に、真っ先にエスクリダオが反応した。
「そんなこと――」
「『させない』とでも言うつもり? ワタシに与した貴方が」
エスクリダオに対して嘲笑を向けるサタニア=デモニア。
心の闇を突いたつもりだったが、エスクリダオは不敵に笑い返した。
「その通りだよ。あなたに味方したからこそ、ここで止める!」
「……そう。なら、やれるものならやってみなさい」
面白くなさげに呟いたサタニア=デモニアが指を鳴らすと同時に、9体のクローン・エスクリダオが出現した。
それを見て、一同は驚かずにはいられなかった。
「あたしのクローン……そんな、ドラゴニアが……」
「なるほど、ドラゴニアが爆破しに来たのは貴方の差し金だったわけね。ニンゲンに従うなんて、落ちぶれたものだわ。ねえ、ドラゴニア?」
「うる、せぇな……」
低く呻くように言葉を発したドラゴニアは、宙に浮かぶ「魔力源」の真下に鎖で拘束されていた。
そんな身動きの取れない状況でもわずかに顔を上げ、自分を見つめるエスクリダオに向かってぎこちなく笑って見せた。
「悪ぃ、ドジっちまった……これ以上、クローンは生まれない、が、既に居るヤツは……ぅぐ……!」
喋っている途中で「魔力源」へと魔力を吸い上げられ、ドラゴニアは思わず顔をしかめて呻いた。
それを見て、ブレイブは純粋な疑問を口にする。
「何してるの?」
「見てわからない? 展開した改変術式に魔力を供給させているのよ」
「待ってよ、同じ悪魔じゃないの!? 仲間じゃないのッ!?」
「仲間……?」
眉をひそめたサタニア=デモニアは、苛立ちを露わにして声を荒げた。
「何が『仲間』だ! ワタシを裏切り、悪魔を裏切った者を仲間と呼べと!? ふざけるのも大概にしろッ!!!!」
「……ねえ、ハート。前にふざけたことってあったっけ?」
「そんなことを言ってる場合じゃないでしょ」
きょとんとするブレイブと、その脇腹を小突くハート。
微笑ましい光景に思わず笑みを浮かべたルスが、口を開いた。
「私たちの目標はサタニアの企みを阻止すること。皆、それは良いね?」
「もちろんです! あたしのブレイブカリバーで一刀両断ですよ!」
「頼もしい限りだけど、そのためにはあの子たちをどうにかしないとね……」
現在進行形で人間界を魔界へと変えている改変術式。それと「魔力源」を守るようにして立ちはだかるクローン・エスクリダオ達に、4人の視線が向く。
「わたし――」
「あの子たちの相手は、あたしとルスでしよう」
「お姉ちゃん?」
ハートの言葉を遮ったエスクリダオが、ルスと目を合わせた。
「あの子たちは、あたしが今までしてきたことの結果。あたし以外で相手に相応しい人なんていないでしょ。でも9人を1人で相手にするのは流石にしんどいからさ、一緒に戦ってくれる?」
「もちろん」
「ま、待って! 2人でも無理だよ。ここはわたしも……」
ルスが二つ返事で引き受けたのを見て慌てたこころの肩に、エスクリダオが優しく手を置いた。
「あたしたちが道を作るから、後はお願い」
「そんな――!」
なおも食い下がろうとするハートに言い聞かせるようにしながら、ルスが話し始める。
「あの魔術を止めるには、術式そのものを破壊するか、ドラゴニアを助けて魔力の供給を断つか、術者であるサタニアを倒すかの3つぐらいしか無い。でも、どれを選んでもサタニアと戦わざるを得ないだろうから、戦う前に消耗するのは避けたいところだね」
ルスの脳裏によぎる、中津里川の河畔で急襲を受けた時のこと。
自分の腹部に手をやって、ブレイブとハートを交互に見た。
「あと、病み上がりの私が戦うよりも、フルパワーで戦える2人が戦う方が勝率は上がると思う。だから、ここはブレイブとハートにあの魔術を止めて欲しい」
「すぐにあたしたちも合流するからさ?」
「……わかりました」
ルスの作戦とエスクリダオの言葉に、不安を拭いきれないながらもハートは頷いた。
そうして4人の魔法少女は、クローン・エスクリダオ達と改変術式、そしてサタニア=デモニアを改めて見据えた。
サタニア=デモニアは余裕の表情で見返して問う。
「作戦会議は終わったの?」
「えぇ。あなたの野望は私たちが止めてみせる!」
ルスの言葉を合図に、4人は一斉に動き出した。
「満ちあふれる勇気――ブレイブフル!」
『ブレイブフル』の宣言と共にハートの手を握ったブレイブが、改変術式目がけて一直線に飛ぶ。
2人を遮ろうと動いたクローン・エスクリダオ達を、無数の光球が襲った。
「あなた達の相手は私達よ!」
「あたしだからって、手加減はしないから!」
クローン・エスクリダオを殴り、あるいは蹴り飛ばすルスとエスクリダオの間を猛然とブレイブが駆け抜けていく。
その手に現出させたブレイブフルカリバーを突き出して、ブレイブは叫んだ。
「おぅりゃああああああああああああ!!」
「させるか!!」
術式に届くかと思われたブレイブフルカリバーの切先が、サタニア=デモニアの展開したバリアに触れる。
「思い通りに行くなんて――思うなッ!!」
「うぐっ……」
サタニア=デモニアが新たに放った光弾をその身に受けて、ブレイブとハートは駅ビルの屋上に半ば墜落するように着地した。
膝をついて立ち上がろうとする2人の前に、サタニア=デモニアは悠然と降り立った。
「少しは考えたみたいだけど、『エスクリダオ』シリーズが使えないぐらいで貴方達に後れを取るワタシではないわ」
予定通り、ルスとエスクリダオがクローン・エスクリダオ達を引き付けることで、サタニア=デモニアは単身でブレイブとハートに対処せざるを得なくなった。
しかしながら、それは決してブレイブとハートの勝利を意味するものでは無い。あくまでも勝負の土俵に引きずり出した程度だ。
ブレイブフルカリバーを構えながら、ブレイブはハートに小声で告げた。
「サポートをお願い」
「うん、わかった」
瞬時に駆け出したブレイブがサタニア=デモニアと切り結ぶのを見ながら、ハートワンドを呼び出したハートは自分の周囲に多数の光球を生じさせた。
「ハート・シューター!!」
ハートワンドが振り下ろされると同時に放たれた光球はサタニア=デモニアに殺到し、爆ぜてその動きを縛る。
そして、いくつかはその背後――改変術式に向かう。
「『超絶・ブレイブフルカリバー』ァアアアアアアアア!!!!」
「やっぱり技名が雑バト!!」
大量の善性魔力を纏って振るわれる巨大な大剣と、改変術式を襲う光球。
早くも勝負は決したかに思われた。
「――甘い」
『!?』
ブレイブ渾身の必殺剣は振り抜かれず、「ハート・シューター」の光球は術式に達することなく自然に爆ぜた。
何故なら、サタニア=デモニアが難なく「超絶・ブレイブフルカリバー」を剣で受け止め、「ハート・シューター」の光球を撃ち落としたからだった。
「フンッ!!」
「うぐっ」
「ブレイブ!!」
「大丈夫……!」
回し蹴りを喰らって屋上を転げたブレイブだったが、心配して駆け寄ったハートに笑って見せて、再びサタニア=デモニアに向かって斬りかかった。
鈍い金属音が打ち鳴り、光球と光弾が交錯して爆音を響かせる。
上空ではクローン・エスクリダオとエスクリダオの「エスクリダオ・ダークネスストリーム」が衝突し、ルスが駆け抜けて何人ものクローン・エスクリダオに打撃を加える。
双方退かぬ戦い、ではあったが――
(ブレイブの動きが遅くなってる?)
戦闘開始からしばらくして、ふとハートはブレイブの動きに違和感を感じた。
ブレイブフルの継続によるものとは思えないほど、ブレイブの動きは急速に鈍っていた。
(どうして……?)
その答えは、サタニア=デモニアが得意げに明かした。
「そろそろ魔力も尽きて戦いにくくなってきた頃合いでしょ? 何と言っても、今やこの場所は魔界――貴方達が力とする善性魔力はほとんど無いんだから」
空中に展開された改変術式は、ただ瘴気を垂れ流しているだけではなかった。
善性・中性・悪性と3種の魔力が混在している状況から、魔界と同じ悪性魔力のみの状況へと変える――これこそが、術式の最大の目的だった。
「魔界で思うように戦えるのはワタシとエスクリダオのみ。貴方達がこの場所に来た時点で、勝負は決していたのよ」
「そんなことッ!」
否定しようと振るわれたブレイブフルカリバーは容易くいなされ、軸が揺らいだブレイブの体をサタニア=デモニアの脚が再び捉える。
その頭上では、クローン・エスクリダオを投げ飛ばしたルスの背に迫ったもう1体のクローン・エスクリダオのドロップキックを、エスクリダオが間一髪防いだ。
サタニア=デモニアの言う通り、徐々に押され始めるミラクル☆エンジェルズ。
もとより数的に不利だったが、このままではジリ貧でしかないことは明白である。
(このままじゃ、何も守れない――)
善性魔力の低下はハートにとっても死活問題だが、自分のことよりもブレイブ・ルス・エスクリダオ、そしてこの世界に生きるものへの想いが強まっていく。
「そんなのは、嫌だ!!」
そしてその想いは善性魔力の奔流となって一帯に溢れ出した。
同時にハートは「ハートフル」へと変化したが、影響はそれだけでは終わらなかった。
「私の力が戻って……」
「戻っただけじゃない。もっと、もっともっと超強くなった気がする!!」
「これは、あたしにも力をくれてる?」
善性魔力の嵐はやがて広大な領域へと転化し、ルスとブレイブ、さらにエスクリダオの力を増加させた。
それは善性も悪性も関係なく、共に戦う仲間を守るために出現した「魔法少女の世界」。
「常時展開型特定対象強化用広域魔法、なのか?」
突然のことで呆け気味に呟かれたサタニア=デモニアの言葉に、ハートは答えた。
「名前なんて知らないよ。わたしはただ……皆を守りたいんだ!!」
「だ、だけど、こんな魔法を貴方1人で長時間発動できるわけがない! ワタシだって、『杏子』シリーズとエスクリダオが生み出した魔力とドラゴニアから吸い上げる魔力であの術式を動かしているんだからッ!!」
想定外の事態に動揺を隠せないながらも的確にハートの限界を指摘するサタニア=デモニアに、今度はルスが言葉を返した。
「なら、最速であなた達を倒すだけ。ね、エスクリダオ?」
「そうだね!」
頷いたエスクリダオは、クローン・エスクリダオ達に視線を向けたまま、背中合わせになったルスに小声で問い掛けた。
「ところで、『魔法少女ミラクル☆エンジェルズ』で1度だけ、敵だった子と放った必殺技って覚えてる?」
「そう言えば、そんなのあった気がするね」
「久しぶりの共同作業ということで、どうかな……?」
ややためらい気味なエスクリダオに、しかしルスは迷うことなくその手を握って答えに代えた。
「行くよ、エスクリダオ!」
「――うん、行こう。ルス!」
『カオス・ストライク!!』
白と黒、2つの光は1つとなって空を駆ける。
反応する隙を与えぬまま9体のクローン・エスクリダオを撃破し、改変術式の真下で魔力供給機関と化したドラゴニアの元へと向かう。
「させるかッ!」
「こっちのセリフ!!」
ルスとエスクリダオを阻止せんと動きかけたサタニア=デモニアに斬りつけ、かわされたところを蹴り飛ばすブレイブ。
さっきまでのお返しとばかりの強烈な一撃に、背の高い縁にぶつかったサタニア=デモニアは呻いた。
「でいやああああああああああッ!!」
「!」
間隙無く振るわれたブレイブフルカリバーを咄嗟に剣で受け止めたものの、押し返すことなど出来なかった。
(そんなバカな。このワタシが押されているだと……?)
圧倒的優位にて勝利するはずだった目論見が崩れたサタニア=デモニアの胸中を、焦りが支配し始める。
剣を滑らせつつ逃れて至近距離で光弾を浴びせようとしたが、片手を放したところで剣を弾き飛ばされ、裏拳の要領で肘を打ち込まれて息が詰まった。
「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃッ!!」
「く、ぅ、ぐ――」
追撃として何度も打ち込まれる拳。
捌ききれずに無数の殴打をその身に受け、最後の一打で殴り飛ばされたサタニア=デモニアは屋上に転がって全身の痛みに喘いだ。
◇◇◇◇◇◇◇
一方のルスとエスクリダオは、ドラゴニアの元へと達して拘束を解いていた。
倒れ込みかけたドラゴニアをエスクリダオが抱えて揺する。
「大丈夫、ドラゴニア!?」
「大、丈夫に見え、るか……?」
「ひとまず、すぐに死ぬことは無さそうだね」
ドラゴニアが皮肉じみた笑みを浮かべるのを見て、ルスは安堵した表情を浮かべた。
しかし、衰弱していることに代わりは無く、放っておけば死にかねないことは事実だった。
「治癒魔法を――」
「待、て。アタシより、術式を……」
エスクリダオがかざした手に触れ、ドラゴニアは目で頭上の改変術式を示す。
「でも!」
「早くッ」
「……わかった」
声を震わせながら言うエスクリダオに、ドラゴニアは強く言葉を返した。
その意思を汲んで、エスクリダオの肩に手を置いてルスは術式を見上げた。
「まず、この集積された魔力を術式から切り離そう――」
そこまで言って、ルスははたと気付いた。
「悪性、魔力……」
「あ……」
同じことを思い付いたエスクリダオと目を合わせ、次いでドラゴニアに目を向ける。
「……?」
2人の視線を受けて、ドラゴニアは怪訝に思った。
◇◇◇◇◇◇◇
「ワタシが負けるはずが無い……そうだ、改変のスピードを上げれば!」
ブレイブの逆襲により押されるサタニア=デモニアは、何とか打開しようと改変術式の方へと手を伸ばした。
しかし術式がさらに勢いを増すことは無く、むしろ機能を停止して崩壊を始めた。
「そんな、ワタシの……サタニア様の悲願が!」
目の前で塵となって消えゆく夢。
声を上げずに涙をこぼすサタニア=デモニアの耳に、ルスの声が届いた。
「術式を動かしていた魔力は、ドラゴニアの回復に使わせてもらったから」
「改変を阻止してドラゴニアの救出も達成。これが一石二鳥ってやつ?」
見れば、ドラゴニアに肩を貸したルスとエスクリダオが誇らしげに立っていた。
それがサタニア=デモニアの逆鱗に触れたのは言うまでもない。
「魔法少女ッ!!」
怒りが噴き出すままに駆け出したサタニア=デモニア。
その進路上に入ったブレイブの拳が鳩尾を捉え、波動が体を駆け抜ける。
「か、はっ――」
くずおれるサタニア=デモニアの体に、ハートが力を振り絞って技を放つ。
「『ハートフル・ヒーリング』」
エスクリダオ――杏子の心を静めた魔法に、「憤怒」の悪魔たるサタニア=デモニアも抗えなかった。
「サタニア様……」
その言葉は風の中へと溶けていき、体は横向きに倒れ込んだ。
◇◇◇◇◇◇◇
体を起こされるのを感じたサタニア=デモニアは、閉じていた瞳をゆっくりと開いた。霞む視界に
「……ドラ、ゴニ、ア?」
「おう、起きたか」
答えたドラゴニアの声は疲れているようで、しかしどこか優しくもあった。
「ワタシは、間違って、いたのか?」
「……さあな。ただ、アタシも同じことをしたとは思うぞ」
「なら――どうして」
『どうして』。その後に続くはずの言葉に、ドラゴニアは近くの魔法少女たちを見ながら答えた。
「大切な者を喪う辛さは知っている。だから、甦らせられるなら甦らせたいと思った。だがな……アイツらはまだ何も喪っていない」
ドラゴニアの視線の先で、極度の疲労でぶっ倒れたこころを介抱する杏子。
2人がこれまでに浮かべた表情を思い起こしながら、ドラゴニアは言葉を継いだ。
「まだ、何も喪っていなかったんだ。そんなヤツらが同じ辛さを味わうと思うと、何かモヤモヤしたんだよ」
「ふ、フフ……」
「何だよ、笑うなよ」
顔を赤らめてそっぽを向くドラゴニアを見て、サタニア=デモニアはか細い笑い声をさらに重ねた。
ひとしきり笑い終えると、ゆっくりと持ち上げた手でドラゴニアの胸に触れた。
「デモニア?」
「……今から、貴方が、『サタニア』よ」
「は? お前、何を言って――」
眼前に浮かんだ継承の文書を見て焦ったサタニア=ドラゴニアの言葉は、デモニアの見せた柔和な表情で途切れた。
「叶えて、見せて。貴方の……」
デモニアの言葉はそこで途絶えた。
その開かれた目を閉じ、口の端からこぼれた蒼い血を拭ってやって、サタニア=ドラゴニアは
〈次作予告〉
優姫「小川優姫です」
こころ「神谷こころです」
優姫「やっと戦いが終わった……のかな?」
こころ「うん。お姉ちゃんもひかるさん達も取り戻せたし、わたしとしては万々歳かな」
優姫「これで世界も平和になってめでたしめでたし、とはいかないらしいよ」
こころ「また新しい戦いが始まるみたいだね」
優姫「でも、あたしたちがいるから大丈夫! 超安心してね!」
こころ「ということで、今まで応援ありがとうございました」
優姫「新たな戦いでも応援してね!」
こころ「じゃあ、いつもの行くよ?」
優姫「ドンと来い!」
優姫・こころ『わたし(あたし)たちが、奇跡起こします!』
Go To The Next Stage!! → https://kakuyomu.jp/works/1177354054889995018
魔法少女ミラクル☆エンジェルズ Brave&Heart(第2期) 水無月せきな @minadukisekina
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