(遺稿)発明『【イマジナリー】未来の『小説』のモデルを「発明」してみた【ブック】』

@jiga619

(遺稿)発明『【イマジナリー】未来の『小説』のモデルを「発明」してみた【ブック】』

(株)ルラックの「インディーズ文庫」担当の宮根進と申します。

以下の記事は、故人・ともなりたかひろの『遺稿』の中の一つ、(遺稿)発明『【イマジナリー】未来の『小説』のモデルを「発明」してみた【ブック】』(2017年2月19)を、原文ママのまま、抜粋したものです。発表日も彼の『遺稿』の指示通りであります。

ゆえに、この記事が現在の状況とは食い違う面もあるかもしれません。その点をどうか、ご容赦頂きたく思います。



<【イマジナリー】新たな「書籍」のモデルを発明!【ブック】

→sm19518307(ニコニコ動画)


こんなこともあろうと思って、のアイデアを多く持ち合わせている、この(どの)僕だ。

この文章も、当然、僕の、死後発表、となるだろうが、それも計算ずくで、今、僕が描いた『遺稿』通り、手を打とうと思っている。

今回、僕が「創作家」としての『遺書』である、未来の「書籍」のモデルを発明したことを、こうして、「カクヨム」という場において、僕の『遺稿通り』発表するのには、ちゃんとした意図がある。

――なぜなら、その「発明」は、このサイト「カクヨム」と酷似しており、なおかつ、僕の方が先取りしていたからだ。

それを、これから「説明」していきたい、と思う。

そのためには、以下に、僕が『遺稿』として書いた、メタ・フィクション『小説神髄2017』から長めの引用をしなければならない。

なぜなら、ここに、僕が言いたいことのほぼ全てが内包されている、といっても、過言ではないからだ。


『――私は、現代における、あるいは、未来における、新たな「文学的インフラ」を発明致しました。

 しかし、この「文学的インフラ」は、「新しい」というより、ソーシャル・ネットワーク時代において「あるべき原理に戻した」という表現が真に近いかと思います。

 まず、新たな「文学的インフラ」を語る前に、なぜ、そんな新しい「文学的インフラ」が必要なのか、その理由と理念を述べたいと思います。

 その理由・理念は、主に2つ挙げられます。

 1つ目は、これからの「本」は「聖書的であるべきである」というものです。誤解のないように急いで付言しておきますが、「聖書」といっても「宗教的」な意味は一切ありません。要するに、「聖書」という「本」は、「たった一冊の本」にも関わらず、それを読む年齢によって「解釈」が変わっていき、そのつど「新たな本として更新されていく」という「読み方」が出来る形態の「代表例」です。そういう「たった一冊の本」が「解釈」によって「新しい本として更新されていく」という、「聖書的なあり方」は、現在主流のタブレット端末というメディアによる「読書」のあり方と相性が良い、と思うのです。

 逆に言うと、こういうことです。

  島宇宙化した、この文芸シーンにおいて、これ以上の小説作品など、ほとんど不要である、ということです。僕を含めて、どれもこれも似たような小説群ばかりなのだから。

 2つ目は、「あかさたな」に「特許を認めてみよう」という考えです。

これはどういうことか、と言いますと、昨今、出版不況だ、雑誌が売れない、書籍が売れない、と言われて久しいですが、それも仕方ない、と私には思われます。

なにせ「本一冊」という「単位」自体が「大きすぎる」からです。

従って、「お金が発生するポイント」自体も、「たった一点」しかないわけです。

――では、どうしたらもうちょっと効率的に「お金が発生する」ようになるか、と言いますと、簡単な話、「一冊の本」を、「最小単位」まで、どんどん「分割」していって、「一冊の本」に至るまでの間にお金が発生するポイントを設ければよいのです。

言ってしまえば、小説における「冒頭のワンフレーズ」まで「分割」して、そこから「一冊の本」をはじめてみよう、ということです。

例えば、その「冒頭のワンフレーズ」を、「コップがある。」だとすると、そこに、サイト内で「特許」を認めてみよう、ということです。

以上のような考えが、「あかさたな」に特許を認めてみよう、っていう考え方の真意です。

以上の、この二2の考え方を組み合わせますと、次のような「インターネットサイト」=「文学的インフラ」が構想できます。

順を追って説明していきましょう。

まず、そのソーシャルネットサービス型の小説サイトを創ります。

無論、この「カクヨム」では、成し得ないサイトです。

そして、「最初のワンフレーズ」を規定し、そこに「特許」的な地位を与えます。

……さて、ここで、いや、ちょっとまて、と皆さん、思ったと思います。

確かに、誰がその「最初のワンフレーズ」の「特許」を得ることが出来るのか? という「問題」が当然浮かびます。ですが、今その「問題」は、ちょっと後に回したいと思います。

とにかく、まず、サイト内において、「最初のワンフレーズ」に「特許」を認めます。

そして、大前提として、そのサイト内では、その「最初のワンフレーズ」からしか「創作はできない」というルールを決めます。

となると、その「最初のワンフレーズ」から、サイト内の誰かが「二次創作」、――小説なり、詩なり、評論なり――が生まれることになります。

そのとき、その「二次創作」を作った人は、「親」である「最初のワンフレーズ」に、特許料として「お金」を、――まぁ、「ポイント」でもいいですが――を、払わなければならないわけです。

で、そこからさらに、「二次創作」から「三次創作」が生まれますよね?

その場合、「兄」である「二次創作」にポイントを払わなければならず、なおかつ、「親」である「最初のワンフレーズ」にもポイントを払わなければならない、というような仕組みになります。

以上のように、「一冊の本」に至るまでに、様々に「枝分かれ」させて、「お金」、あるいは、「ポイント」が発生する「点」を設けていけば、結果、実際の利益を得られる書き手は増えていき、このサイト自体も様々に枝分かれして宇宙のようにどんどん膨張していく、というわけです。

しかも、です。

この点が重要なのですが、以上のように多岐に渡り、どんどん膨張していったとしても、それらすべてを含めて、聖書のように、「たった一冊の本である」という着地点は揺るぎないわけです。

もっと正確に言えば、「永遠に完結しない一冊の本」と言えるわけですが。

そして、その「永遠に完結しない一冊の本」を、読者は読者で、そのサイト内から、好きな部分だけをダウンロードし、日々「更新」し、「新しい自分だけの本」としてタブレット端末で読んでいけるわけです。

しかし、このプロジェクトに問題点が多々あることを、私も認めます。

まずはなにをさておき、先ほど、後回しにします、と私が言った「問題」、つまり、いったい誰が、その「最初のワンフレーズ」の「特許」的な地位を得ることが出来るのか、という「問題」です。

下手したら、現存の「文壇」の「制度」のように「既得権益」になる可能性があるわけですから。

しかし、大丈夫です。私はちゃんとそこの「問題」がクリアになるようなアイデアを思いつきました。

それは、「作者レベル」、「読者レベル」、「データベースレベル」という「ステータス」を設定してみて、それらの「総合的にレベルが一番高い人」が、その「最初のワンフレーズ」の既得権益を得られる、という仕組みにすればよいのです。

いきなり「作者レベル」と言われてもピンとこない方が多いと思われますので、一つづつ説明していきましょう。

「作者レベル」というのは、簡単な話、「どれだけその人の作品に読者がついているか」というステータスで、まぁ、Twitterで言えば「フォロワー」のことを指すでしょう。

次いで、「読者レベル」というのは、「より多くのほかの作者の作品を読み、あるいは、その作品を評価したりしていると上がるステータス」のことを指します。Twitterの例で言えば、「フォロー」、「いいね」、「RT」に該当するステータスでしょうか。

――ゆえに、自分の「作者レベル」(フォロワー)を上げるには、必然的に、「読者レベル」(フォロー・RT・いいね)をも上がらなければならない、ということになります。

そして、最後の「データベースレベル」というステータスは、ある意味「特例」でして、データベース、つまり、「小説」の「構造」だとか、あるいは、「物語」の「パターン」ですね、それも「最初のワンフレーズ」と同じように「特許」を与えてもよいのではないか、と思い、試金石的に設定してみたものなのです。

――考えてみれば、世の中には、「創作する」よりも、僕のように「構造を分析する」のがお好きな「分析家」気質の方々も多くいらしゃいますから。

その人たちにも、ちゃんと「利益」が還元できるシステムだと、より良いのではないか、そう私は考えたわけです。

といったところで結論になりますが、このソーシャルネットワークサービスをモデルにした「文学的インフラ」は、「たった一つの本」を、多くの個人の想像力で作り上げていこう、という、「集団主義的」な側面もあるのですが、前述の通り、「作者レベル」等も含めて実際に「公平に見て実力がある人」が「特許的な地位」をとれるという「個人主義的」な面もあしっかり同居しているゆえ、その結果は、現存する「文学賞」などの「選考基準」などと比べても、「限りなく公平な審査」だと思いますし、このシステムならば、その結果に、誰も文句は言えない、と私には思われます。

――この「文学的インフラ」のことを、私は「イマジナリー・ブック」と命名します。』


以上だ。

これが、私が、この「カクヨム」で発表する、唯一の「作品」となることだろう。>

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