第5話
――午前0時、12月25日。
「レッツ……ライトアップ!!」
直後、ジュピウスが住まうアパートメントの明かりが一斉に落ちた。と言うのも、ジュピウスが用意したイルミネーションがあまりの数で、点灯の際は他所の電気を拝借しなくてはならないからであり、そう言ったこともするためにジュピウスには一人の時間が必要だったのだ。
お陰で他の部屋の全ては暗闇になったが、ジュピウスの部屋だけはところ狭しと配置された色とりどりのイルミネーションが、ツリーや巨大な”Noel”の文字がそれは派手に輝いていた。
ふふん、とそう得意気に鼻を鳴らしたジュピウスがユノを見る。そこには出掛けた先で見たどの飾り付けよりも鮮烈なその光景に目を奪われる少女の姿があって。無表情ではあるのだけれど、ジュピウスは満足だった。そして次に大切なのは、クリスマスに欠かせないもの。それはそう。
「プレゼント……マスター・ジュピウス。……プレゼント……です。これ……」
そう言って、いつものように無表情だけれど、いつものように歯切れの悪い言葉をジュピウス”よりも先”に投げ掛けたユノ。彼女が手にしていたのは”I love you”と書かれただけの簡素なクリスマスカードだった。
ジュピウスはそれをそっと受け取ると、ふっと笑みを浮かべる。
「……ベッドへ行こうか」
――END
聖夜聖戦マデウス・グレート・ウォー こたろうくん @kotaro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます