まず基本情報として、この作品の一話一話はそれぞれ独立した話です。
一万文字の制限の中、四つの世界を書き分け、最後に綺麗にまとめた作者様の技量は素晴らしいの一言!
しかし、この作品の真骨頂は別のところにあります。
あなたは困っている人など誰かを救いたい、力になりたいと思ったことはありますか?
思ったことはあるけれども、
「私の力じゃ無理だ」と諦めたり、自分の無力さを恨むだけで終わった人が大半ではないでしょうか?
でも、違うんですよ。
大事なことは救えたかどうかの「力」や「結果」じゃなくて、
自分にできることを探して行動に移す「一歩踏み出す」ことなんですよ。
そうしたら、その踏み出した一歩が、
その人が思っていた以上に誰かを救ったり、力になったりするんですよ。
この作品はそのことを見事なまでに体現しています。
もう一度聞きます。
あなたは困っている人など誰かを救いたい、力になりたいと思ったことはありますか?
もし、思ったことがあるのなら、
「一歩踏み出して」今すぐこの作品を読みましょう!
たった一万文字の短編を読むだけで、
将来、あなたが救いたい人を救えるようになるかもしれません。
読了後の第一声はウィスパーボイスで「うんッ……めぇなぁー」でした。気色悪くてすみません。
本作は、時代と世界線を超えた救済と恩返しのお話。戦争、魔法、超科学、そして現代……と連作で続くのですが、とにかく「守られた側」の痛みの描き方が巧みで、それが読み手の痛覚にまで伝播します。そして、前半3話で守られたメルが与える側に回るのが4話目(現代の学校)なのですが、とにかくメルの「ここでいいよ」というセリフが、メルが自分の幸福云々ではなく、純粋に「救いたい」「ありがとう」の気持ちで動いていることを象徴しています。
何言ってるか分からなかったらごめんなさい。とりあえず読んでください。