テコ入れバトル展開リメイクの告知&プレビュー

【お知らせ】

 本作は章途中ですがここで完結扱いとします。

 代わりにずっと後に予定していた武闘大会編を独立させて別作品として開始しました。バトル展開でテコ入れしたリメイクというやつです。


 タイトルは『異世ばと! ※スーパーなろう大戦に作者オリキャラが参戦する話です』。

 様々な異世界より集った勇者・冒険者・令嬢たちのバトルロイヤルに圭一が放り込まれるお話です。


 掲載は二次創作小説の投稿サイトハーメルンになります。

 

 ここからは異世ばと!の第一話をプレビュー版として転載しました。ぜひお試しください。

 またそちらで登場するライバルパーティーのいくつかは短編・中編という形で作品化しています。こちらはカクヨムに投稿していますのでよろしければ合わせてお読みください。


          ***


『a Number of世界は Adventure 冒険とand Romans oロマンスにn Omni-Univ満ちているerse!』


数多あまた世界より集まった勇者・冒険者・令嬢たちが覇を競う武闘大会、NAROU! 第44回の今回は過去最大規模、無人島に100パーティーが集結し最後の1パーティーになるまで戦って戦い抜くバトルロイヤルでお送りしているZE! さあ、そんなNAROUも早くも中盤戦。そして今一番の見どころはここ、丘陵エリア!』


『ここで事前のリーダの人気ランキング最下位だったシンジョウ・ケイイチ選手が率いる『白銀の星シルバースター』がまさかの大躍進! ケイイチ選手は100人のリーダーの中では珍しい何のスキルも魔法も持たない身でありながら、あらゆる手段でもってここまで生き抜き、多くの格上パーティーを撃破してきたZE!』


『特にイケメンは確実に屠る、そのプレイスタイルに付いた二つ名はイケメン殺し。そして今も私イチオシの陰のある美少年に徒党を組んで襲いかかる! そんなにイケメンが憎いかオラー!』


 風にのって上空に響く甲高い声。

 僕の名を叫んでいた声の主は頭上を飛び回る妖精の女王様。このバトルロイヤルの実況アナウンサーだ。


「何なのあの偏向放送。そりゃたしかに今の対戦相手はかっこいいけどさ。こう、復讐に身を焦がすダークヒーロー的な」


 僕は標的を確認する。

 丘の重なりにある岸壁に身を潜めた少年。今は仲間から引き離すことに成功し、ソロでこちらの攻撃から逃げ惑う彼。僕と同じ17歳程度で、黒づくめの服を着てそれ以上に纏うオーラが闇を抱えてる感を漂わせてる。

 

 僕の視線と、相手の不用意に近づけば噛み殺すと言わんばかりの目が交差する。土に汚れた顔だが、それがまた雰囲気を増すというか絵になっているというか。


 …………たしかにイケメンは許せないかもしれない。


「大丈夫ですよ圭一さん」


 背後からの声に振り返れば、そこには黒い三角帽子をかぶって黒メガネの少女。

 僕のパーティーメンバーで服装通りの魔法使い。あとカワイイ。天然。


「あんなランキングは単にリーダーの外見で判断したにすぎません。ただの人気投票ですよ。本当の実力は違うんだというのを見せてやりましょう」

 だから気にするなとばかりににっこり微笑み、ぐっと拳を握る少女。


「あ……うん、ありがと」


 ふんす、と意気込んだ弓槻さんに伝える。


「じゃあ、さっそくあいつに撃ち込んで。軽いファイヤーボールでいいから、こちら側に注意を引きつけていてほしい」


「了解です……標的指向性焼夷弾フラワーボール設定セット良しゴー―――発射ファイヤー!」


 弓槻さんが右手を振るえば テニスボールサイズの火球がいくつも出現。

 空に浮いて表面に炎のゆらぎが見える火球が断続的に発射されていく。


 標的が隠れる巨大な岩に当ればヒビが入り、次弾でその割れ目から岩が大きく折り取られた。敵はすぐさま横の岩陰に逃れる。弓槻さんが照準修正した火球が彼を追っていく。


 いいなあ、魔法。

 これぞ異世界っていう、ユニークスキルの代表。いくつもの異世界を巡っている僕だけど、制約があって一つも習得できないんだよな。

 もちろん他の参加者にも魔法を持ってない人はいくらでもいるけど、代りに特殊な異能スキルなんかを持ってたりするのだ。オンリーワンなやつ。僕にはそれもないのだ。


「なんだかなあ……」


 たしかにあの妖精女王様が言うように僕は戦闘力なんてないよ。でもこれだけは抗議したい。


「いや、でも顔はそこまで悪くないと思うんだけどな……少なくともビリはないよね? っていうか各パーティーのリーダー百人の中には明らかに人じゃない人がいたけど…………動物とか物とか…………僕は何で負けてんの?」


 例えばいま同盟組んでる相手なんて――――


「ヤッホホーウ!」

 突然の掛け声が上空から。

 空中ブランコに腰掛けたメイドさん。

 

 天高く雲の上から垂れ下がるブランコが大きくスイングして標的の頭上に達する。


 空中から颯爽と現れた少女。長い金髪がまばゆいメイドさん。ロングスカートのメイド服の黒さもあって、Twitterでしか見たことない田舎のヤンキー少女(純情派)にしか見えない。


 ヤンキーメイドさんが空中にダイブ。

「いっきますぜーオラー!!」


 彼女の手にはブランコの台座が変化したパイプ椅子。

 

 直下に落下しながら、突然の上からの攻撃に戸惑う相手にパイプ椅子を叩きつけた。


「オラオラオラー!」

 敵の剣をものともせずに椅子をぶち込み、トドメにドカッと足蹴りにするという女子プロレススタイルが決まった。標的ははじき飛ばされ岩壁に背をうった。


「よしっ!」

 味方の攻勢に僕は声をあげる。

 そう、彼女たちがいま手を結んでいる同盟パーティーだ。そしてその主力はあのヤンキーメイドさんじゃなく、手にしたパイプ椅子の方。

 

 実はあの椅子は転生者なのだ。

 地球で椅子職人であったことから、異世界に転生したら椅子になってた人。あらゆる椅子に変化できるというチートスキルと共に。


 パイフ椅子から公園のベンチからマッサージチェアまで、地球で目にした全ての椅子に。さらには車椅子や、ブランコを空中にぶら下がった椅子と定義する応用力まで。


 自力移動が難しいという欠点を差し引いても頼れる味方だ。

 ただ一点言わせてもらえば、


「僕はなんで人気投票でパイプ椅子に負けてるんだ?」


 と、そんな愚痴を吐いてるところで標的が動き出した。

 震える手で身体を起こし、剣を拾う。


「なっ!?」


 彼はそれを自分の心臓に突き刺した。そのままドサリと仰向けに倒れた身体の周りに赤い血液が広がるのが見える。


「ちょっ、何だよ貴様! 負けを認めるよりお逃げあそばせんのかよー!」

 ヤンキーメイドさんが吠える。


「圭一さん、あれはどういうことでしょうか。降参するならあんな真似しなくたって…………いえ、死体が教会に飛ばないってことはあれでまだ息があるってことでしょうか? まさか信者登録していない? それじゃあほんとに死んじゃいますよ?」


「いや、違うと思う。あっ……そうか、そうだ。それなら今までの動きも説明がつく。彼のスキルは恐らく時間を&YHB[XX&9――――――――





――――――――ヤンキーメイドさんが空中にダイブ。

「いっきますぜーオラー!!」


 空中からという完全に敵の虚をついたヤンキーメイド少女の攻撃。だが相手は寸前で気づき、上空にファイヤーボールを飛ばす。


「チックショー!」

 咄嗟に椅子さんが劇場用のシネマシートに変化。ソファの防炎性能と分厚さで熱と衝撃を受け止めた。地面に転がり倒れるメイドさん。


「弓槻さん、援護を!」

指向性電撃照射ピカニャン・パンチ発射ファイヤー!」


 弓槻さんの手から真っ直ぐに電撃が走る。メイドさんに向かっていた敵はたまらず奥側の岩に逃れる。奇襲に失敗したヤンキーメイドさんは立ち上がり、慌ててこちらに戻ってこようとしていた。


「どう見ますかケイイチ様」

 背後から声をかけてきたのは黒い燕尾服を着た執事さん。椅子さん達パーティーの重鎮、セバスさんだ。


「追い詰めてはいます。でもさっきから何かおかしいです。不意打ちや罠が全部寸前でかわされる。ただ、それでいてあちこち不自然に見回していて、不意打ちに気づくのもほんとにギリギリのタイミングです。まるで自分がこれからみたいな」


「私もそう見ました。つまりは十中八九、予言系のスキルでしょうな」


「はい。ですから仮に相手を予知能力系のスキルがあるという前提で動きます。見ている限りでは攻撃を受けてる間は、スキルが発動できないみたいです。集中力の問題か時間がかかるからなのか分かりませんが。一度こちらの手数を増やしましょう。セバスさんも攻撃に参加してください」


「かしこまりました。それではその間、お嬢様の椅子になる栄誉をケイイチ様に」


 四つん這いになってたセバスさんは自分の背中に腰掛けていた小柄なお嬢様(白いワンピースに可憐な金髪ロング)を僕の方に寄せてくる。

 

「あっ、はい」

 僕も四つん這いになれば、背にちょこんと移るお嬢様。


「ふふっ、殿方に腰掛けるなんてはしたないようですが、チキュウという世界ではこれがマナーだとか。よろしくお願いいたしますね」


 違うよお嬢様。君のとこのリーダーと執事さんが自分たちの性癖を正当化するために地球のことを歪めて伝えてるんだよ。


「……そのわりにとっても自然に椅子になってますよね」


 弓槻さんがすっごい冷たい目で見下ろしてくる。

 いや、違うんだ。何か僕の中のDNAが高貴なお嬢様の椅子になることを自然と受けれいてしまって…………。


「えっと……あの、弓槻さんもよろしければお座り下さい」

「お邪魔します」

「はい」


 ぐむっと二人分の重みが背にかかる。ういしょと弓槻さんがお尻を動かし、自分の陣地を主張。

「あら、ふふっ」


『おおっとー、ケイイチ選手。美少女たちの尻蹴にされて余裕をかましているぞー! すでに勝った気でいるZE! 舐めとんのかオラー』


 だが何だろう。二人分の体重がのしかかっているのに、まったく負担は感じられなかった。まるで自分の内からこの重みに耐えるだけの力が無限に湧いてくるようだった。


「そうか、そういうことだったんだ。これが椅子さんと執事さんの強さの秘訣なんだ」


「座っておいてなんですけれど、最下位なのってそういうところですよ、圭一さん」


「えっ!?」

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バイト先は異世界転生斡旋業 ~えっ、スタッフにはチートも魔法も無いんですか!?~ 笠本 @kasamoto

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