冴えない彼女たちの育ちかた

最終話 冴えない彼氏の育てかた

※絶賛公開中の映画の先の話を書いております。ネタバレ要注意ください。

　最終回となります。ご愛読ありがとうございました。あと、映画最高でした。

「よかったね～倫也くん」

　俺は、恵といつもの坂を歩いている。

　今日は俺の受験の合格発表の当日。

「ああ、恵のおかげだ。ほんとうにありがとうな」

「うん、本当だよね。まさか倫也くんが、あんなに勉強できなかったなんておもわなかったよ～」

「あの苦しい日からやっと解放されたのに、思いださせないでくれ」

「ふふっ」

　恵もやっぱりどこか上機嫌で、俺に軽口をたたいてくれる。この軽い感じのおしゃべりが俺にとっては、とても大切で、嬉しい時間だ。

「ねぇ、倫也くん？」

「うん？」

「あのさ、まだずっと先のことだと思うんだけど……さ」

「ああ」

「私たちが、英梨々や霞ヶ丘先輩に追いついたら……」

「……」

「みんなでお花見でしたいね」

　恵は遠くに行ってしまった親友に思いをはせる。

「そうだな」

　俺も星空を見あげてうなづいた。

「あとさ」

「うん」

「ありがとうね」

「えっ？」

「私を見つけてくれて。私をメインヒロインにしてくれて、だよ」

　そう言って、恵は俺の顔に近づいてくる。

　俺たちは、一年前と同じように愛を誓い合った。