居残

細矢和葉

深夜五時、わたくしは依存の缶を開ける

言葉の意味を知りたくて時刻表を眺めた


答えられなくなりそうなレジスタンスはわたくしに間違いなく


湿気たマッチを擦ったのは、まだ諦めきれなかったからで

監視カメラの死角はわたくしの視界の全世界になった


中毒の缶詰を部屋の隅に転がしたのは、本当は深夜七時だと気付いていたからに他ならないだけ


賭けたくは無いが、賭ける位しかわたくしを救う方法は無いことにもまた気付いていた

白い死神に賭けることがわたくしの心を救うなら、たとい彼奴が死神であろうと神に変わりはないのだ


救いの手は相変わらず差し伸べない非情な神こそが、わたくしの唯一神になっているのだから


お前のヴェールの下をわたくしのみが知っているならば、誰も知らぬと同義にしよう


救いは無くともわたくしはもう目を逸らすことも辞めたく思う

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居残 細矢和葉 @Neighbourhood

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