第2話
2018ネン10ガツ31ニチ水
私は、失恋したばかりだった。同い年の同じ大学の女の子が、失恋やらなんやらで自殺したという話を聞いていた。なんだか他人事とは思えなくて、そんなに精神を病むくらいなら呑んで、胡散晴らしでもしようと思って人生初の飲み会に行った。人生で初の飲み会なんて陰キャなのかと思われがちだけど、私は陰キャという部類ではない。でも、そこにいた方が本領発揮、根暗で精神状態も安定していられると思う。私はそのくらい人付き合いが苦手だ。けれど、いい感じに生きていくにはそれなりの人脈が必要であるのは分かっているから、必死に虚勢をはって、陰キャとパリピ達の間で、卒ない優等生として生きてきた。程よくハメを外し、勉強もこなし、全ては自分の将来のために、計画を立てて生きてきた。その計画の中にサークルの文字はなく、入らなかったんだけど、別にサークルに興味がないわけでもなし、失恋の立ち直りも兼ね、友人の所属するサークルの飲み会(その日はハロウィンコンパだった)に参加した。ハロウィンという非日常的なイベントの雰囲気も相まって、アルコールはどんどん入って、パリピ達はどんどん酔ってどんどん騒いだ。そのサークルは、所謂、飲みサーで、パリピの中のパリピしか存在しない世界でついていけないと不安に思いつつ、案外虚勢は強くてアルコールにも助けられ、無事、パリピを演じきれた。芝居をするのは疲れるもので、二次会に行く気には全くなれなかった。私を気に入ってくれた幹事にしつこく誘われたが、丁重に断って22時に上がった。こういう時に、私は本当に芯からの根暗なんだと感じる。寂しがりのくせに自分から孤独の方へ行ってしまう。それでもいい。仕方がない。ずっとそう思ってきた。けれど、どうしたのか、その日の帰り道は、そう思えなかった。沢山の人と騒いだ後の余韻のせいか、帰りに一人でインスタグラムにアップされた片想いしていた彼と恋人の投稿を見たせいか、夜のせいか、寂しくて、自分が惨めに思えて仕方がなかった。自分の気持ちを誰かに聞いて欲しかった。誰でもいいから、私のことを知らない誰かに聞いて欲しかった。パリピ達と騒いで弾けて楽しかったこと、でもパリピ達と人間関係を気づくのが怖いこと、優等生としてしか生きれない歪んだ心のこと、失恋のこと、若い時間がどんどん消えていく恐怖。私の絡みに絡まった気持ちを文字にし出したら止まらなくなった。そして、どうしたのか、返事が欲しかったのか、恐ろしいことをしてしまった。酔った勢いで、住所と名前まで書いて、瓶に入れて、近くの海に流してしまったのだ。ロマンチストなんて言われたくない。それが、その時の私に唯一似合うポジティブな言葉だろうけれど。あとで、多大なる羞恥と恐怖が襲ってくる行為だ。通常思考だったら、身投げしていたかもしれない。その後、また呑んで泥酔して、記憶を失ったのが不幸中の幸いだ。飲みかけの焼酎を置いていった彼に感謝した。
泣けないうさぎは寂しくて死ぬ @luuune
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