泣けないうさぎは寂しくて死ぬ

@luuune

第1話

2018ネン11ガツ16ニチ 金曜日。

私がJDになって11ヶ月と16日。運命が動き出した日。運命を見つけた日。


大学生になって、一人暮らしを始めた私は、毎週金曜日にポストを確認することにしている。週一という頻度に驚く人もいるけど、要るものが届くことはほぼ無いし、届くことがあっても、事前に周知済みだから週一で問題ない。面倒くさがりの私には、このくらいの頻度が丁度いい。それに、殆どの場合、中のものは全てゴミ箱行きだし。今日も、毎週通り、その作業のためポストを開けた。

0122。ガチャ。

溜まった紙達をゴミ箱へ捨て、エレベーターの方へ歩き出そうとすると、うすピンク色の綺麗な封筒が見えた気がした。気にせず六階まで上がったけれど、なんだか気になって、一階まで引き返した。私は、気になることがあると、考えて考えてどうしようもなくなる。中学生の時、夜中に物音が聴こえて、それから気になって眠れず、窓が閉まっているか、隠れやすいところに人はいないか、ハサミを片手に家中確認して寝たことがあるくらいだ。一階へ引き返してゴミ箱を見てみると、そこにはうすピンク色の綺麗な封筒がしゃんとすわっている。しかもその封筒には、可愛らしい小花が散りばめてあるし、齋藤 きみ 様と綺麗な字で書かれている。坂本 遊兎。とも。私は、この日常的な作業時に訪れた非日常的な出来事にドキドキして、ときめいて、平凡な苗字についたこの優美な名前はなんて読むんだろうと思った。そして引き返してよかった。そう思った。部屋に帰って、見知らぬ人からの手紙をまじまじと見つめ、少しの恐怖とときめきの混ざった不思議な感情に陥った。そして、気がついた。これは、酔った私が蒔いた種だと。あの時、見知らぬ人宛に、いや、坂本さん宛に手紙を出した時、私は酔っていた。アルコールと自分の気持ちに、とても酔っていた。

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