第26話 artisma egzemid 剣の墓標

"ha..."

「は……」


uldons hures.

老人は笑った。


"yazdato ci ned viz...merlum ers...vekev"

「お前は俺を赦せないのか……当然だ……わかった」


yu:jenartis towigi lenartiszo jupupo.

傭兵は長剣を床から拾い上げた。


"ers vim lenartis...yem yelnas voy codzo solos del nxal..."

「俺の長剣だ……まだ生き続けるんならこいつが必要になるだろう……」


elna santuga.

エルナは無言だった。


tur reysi nedis kumpespo.

三人が広間から出る。


'no:vce vols"ma tav basliya za:ce gu+zatse.

「黒い狼」の体はひどい傷で覆われていた。


tigas torves.

ティガスが告げた。


"tenav 'azoroba asro mark'zo.cod jits zaglis fa foy kumpesma aln metszo"

「俺は『爆裂火球』を使う。この術は広間のあらゆるものを破壊するだろう」


yuridres ra:cmalm mevgo elnazo.

魔術師が確認するようにエルナを見た。


rxafsa andega.

少女はうなずいた。


tigas yalvis len vatsizo.

ティガスが長い詠唱を始める。


yikde yuridyurfa fowuga.

やがて呪文が終わった。


mig du:ce,charmilt cedc sosma mark farum che:lolm lepnas gastanesma kumpesle.

ひどく小さな、ルビーのような光の球が高速で洞窟の広間に吸い込まれるように飛んでいく。


jenma minpac,kumpes charum solvowa.

次の瞬間、広間が赤く輝く。


ta,eren edis ta bulvega gastaneszo.

そして凄まじい音が鳴り、洞穴を震わせた。


azbaro e+dis gogas la+tasle.

爆発音があたりに轟く。


jup narum culkega sat cu:lka cedc.

床が地震のように大きく揺れた。


aln metsfig asros li gastanesma tsasuncunxe.

なにもかもが洞窟の奥で燃えている。


"fowugu..."

「終わった……」


asro milcas uldonsma palile.

炎が老人の瞳に映し出された。


"fowugu..."

「終わったんだ……」


yu:jenartis mi:suyiga.

傭兵は涙を流した。


elna aboga wob nafas zo.

彼はなにを考えているだろう、とエルナは思った。


vekeva ci ned.

わからなかった。


now,yazda ned yem 'no:vce vols'ma tu+kozo.

だが、まだ「黒い狼」の罪を赦してはいない。


tur reys nedigi gastaneszo.

三人は洞窟を出た。


ozt era socum fo+sel foy.

外はまもなく朝のようだ。


sols fovamas fa foy fiksuma sotsnxe.

東の空で太陽が昇るだろう。


elna fikuga welma socminzo ers mig lakfe.

エルナは森の景色がとても美しいと感じた。


gow,yem te+jis lo:no yeg.

しかし、まだ大事な仕事があった。


laspava zev cod uldonszo.

この老人を裁かねばならないのだ。


"'no:vce vols...jen sur laspava tuz"

「『黒い狼』……今から私があなたを裁きます」


yu:jenartis hures.

傭兵が笑った。


"vekeva"

「わかった」


"hayta:r tom lenartiszo val"

「あなたの長剣を私に渡してください」


uldons haytega lenartiszo.

老人は長剣を渡した。


"vekeva li...yazdato ci ned viz.yazdate ci ned zemgev re fen zo tom madsacho.merlum ers..."

「わかっていた……お前は俺を赦せない。母を殺されたことを赦せないんだ。当然だよ……」


elna gotaga lenartisma go+tazo.

エルナは長剣の柄を掴んだ。


erig mig zosrin elnama pu:wa sar.

エルナの想像よりずっと重い。


"'no:vce vols'...tom bi+sxu era...zemno bi+sxu"

「『黒い狼』……あなたの刑罰は……死罪です」


uldons neces del.

老人は微笑み続けていた。


"teminum eto van cu?"

「お前は本当にいいのか?」


tigas jinmigi elnale.

ティガスがエルナに尋ねた。


"ya:ya"

「ええ」


rxafsa payu katiga uldonsuma bi+sxuzo.

少女はもう老人の罰を決めていた。


'no:vce vols' zems zev.

「黒い狼」は死なねばならない。


elna forfoga zosrin artiszo.

エルナは重い剣を振り上げた。


ta vascelesum forduga lenartiszo.

そして勢いよく長剣を振り下ろす。


artisma a:zen bosugu welma satle.

剣の刃が森の土に刺さった。


"yoy...gachig aklo:r!"

「おい……ちゃんと狙え!」


uldons garoga.

老人が叫んだ。


gow elna taya.

だがエルナが答える。


"wob ers cu? sebogav go zemno bi+sxuzo.jen,zemte 'no:vce vols'tus"

「なんですか? 私は死刑を執行しました。今、『黒い狼』として、あなたは死にました」


tigas necas.

ティガスが微笑する。


"han.vekev"

「はん。わかったぞ」


"mende era cu?"

「問題でも?」


elna yujugu uldonsle.

エルナは老人に言った。


"savu:r.yem solov li..."

「待て。まだ俺は生きている……」


"ned.payu zemte 'no:vce vols'tus.now,un reys yem solos del..."

「いいえ。もう『黒い狼』としてあなたは死んだんです。一人の男がまだ生きていますが」


era de:zec.

限界だった。


elna gopa za misuyzo minipo.

エルナが両目から涙を溢れさせる。


"ze...zemgeva ci ned tuz! eto dasce,gow batsoto sewrale! ete jawfe! yem dengxuva! zemgeto vam madsazo! mogova fog tuz! gow,mogova ci ned tuz!"

「あなたを殺せない! あなたは厳しいけどセゥラとは違う! あなたは優しかった。まだ、私は混乱してます! あなたは私の母を殺した! あなたを憎みたい! けど、あなたを憎めないんです!」


rxafsa misamuga.

少女はすすり泣いた。


"savu:r...samu:r ned.gxa:!"

「待て……泣くな! ガキ!」


"aw! lagt ozurate! ticete vel lombuto ned 'gxa:" tus!"

「あっ! また嘘をついた! ガキとは呼ばないって私と誓ったじゃないですか!"


"ya:ya,gow...savu:r! vomova savu:r!"

「ああ、だが……待て! 待ってくれ!」


"savuva ci ned! nub sxalva ned cod kazoszo! dog vomova eti:r ilmofe metsfigzo! ma+va fog syunuzo! ma+va fog nan to:vszo! maduva fog lakfe ma+duzo! ta...la...lakava re fog tuz!"

「待てません! 私はこの世の中をほとんど知りません! だからいろんなことを教えてください! 私は海が見たい! 大きな都が見たい! きれいな服が着たい! そして……あ……あなたに愛されたい!」

"savu:r! la:ka? ne+do! eto yem decris a:js! erv..."

「待て! 愛? 駄目だ! お前はまだ十六なんだぞ! 俺は……」


"wob nafato zo cu? jen yurfama ye:ni bastsowa tom na:fale! teminum eto vinlin reys! dog dusonvava reysuzo eto cedc!"

「なにを考えているんですか? いまの言葉の意味はあなたの考えとは違います! あなたは本当にいやらしい人ですね! だからあなたみたいな男は嫌いなんです!」


"menxav! duvikate! gow..."

「すまん! 勘違いだ! だが……」


"yazdava ned wonto vaz lamsule sog!"

「あなたが私を幸せにしてくれるまで赦しません!」


"gaaa! jod yurfa kap duvika re!"

「があああ! その言葉も誤解される!"


ta uldons aboga.

そして老人は思った。


jen,zemdust ya: vim sigsule.

いま、俺の隣に墓がある。


ers had u+galm "no:vce vols'ma zemdust.

あの荒々しい「黒い狼」の墓だ。


vim koksama 'no:vce vols' zemgo.

俺の心の「黒い狼」は死んだ。


payu artisma kilno erig fo:wu.

もう剣の戦いは終わったのだ。


jen sor yalvis zev me:fe so:lozo.

今から新しい人生を始めねばならない。


woniv za elnazo lamsule.

エルナを幸せにする。


ers peskofe fa+tiko woniv ci dog.

それが俺に出来る唯一の贖罪なのだから。


len jar fowuwa da.

長い夜が終わろうとしている。


fo+selma solsos miltis za asuyg artisma zemegidzo.

朝の陽光が血まみれの剣の墓標をきらめかせている。


'no:vce vols' zemgo.

「黒い狼」は死んだ。


now,yem elna ta 'un reys' solos li.

だが、まだエルナと「一人の男」は生きている。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

剣の墓標 artisma zemegmid 梅津裕一 @ume2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ