もうひとつの実験
おまけ
「理くんは、誰かと付き合ったことあるの?」
「ないよ。」
「うそー。スケートリンクで、慣れたように手を繋いできたじゃん」
「あれは頑張っただけ。」
なんだか悔しいからそっと理くんの手を繋いでみた。
「川瀬さんだって、慣れたように繋いだじゃん。今。」
「恋愛経験なくても慣れたように手を繋げるか実験してみただけ~。
ふふ。成功!」
私が勝ち誇るように言うと、
ふっと理くんが優しい笑みを私に向けた。
ああもう、カッコイイなあ!
「ねえ理くん、わたし、ずっと繋いでたいなあ。
理くんは?」
「え?うん。時間が許す限りは僕もそう思ってるよ。」
「ふふ。じゃあ実験成功だね。好きな人と手をずっと繋いでいたいと思うかどうか、っていう実験。」
「そんなふうに思ってるだけじゃ実験とは言わない。
それに、好きな人と手を繋いでいたいなんて実験するまでもなく当たり前じゃないか。」
理くんが、繋がれた手にぎゅっと力をこめる。
なんだもう。もっと好きになっちゃうじゃんか。
少し顔を赤らめた理くんを見ながら思う。
これからいろんなこと、理くんと実験していけたらいいな。
それでたくさん、思い出を作りたい。
理くん、
次はどんな仮説を実証しよう?
(終)
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