泣いてしまいました。
お話の流れとしては、「そうだろうなぁ」と、どこかで行き着くであろう悲しい結末の予感を覚えるものかもしれませんが、月浦さんの表現が逐一五感に触れてくるというか、丁寧で、修一が悲しいと思えば悲しく、ひもじいと思えばひもじく、恐ろしいと思えば恐ろしくなるような。どんどん感覚が主人公の中に取り込まれていく妙に唸らされました。
夕暮れ。暗がり。黄昏時にどこかから聞こえる牛の声。漂ってくる夕餉の香り。繋いだ手の薄ら寒い感触。
そんな風に一緒に歩いて慄きながら逃げて、どこかで分かってたつもりだったのにシロとの別れにホロリと来てしまいました。
どうか、修一君には幸せになってて欲しい。物語の登場人物にそう願いたくなるような。
素敵なお話をありがとうございました。
『逢魔ヶ刻』、またしても泣かせてくれました。
相変わらず、文章は素晴らしく構成も見事です。そしてそれ以上に、戦時下に生きる修一とシロの関わりが、切なくもゆるぎない絆となって、私の胸に焼き付いて離れません。
私の親からも、戦争疎開時の話はたびたび聴くことがあります。幼少時ながらも当時の記憶を鮮明に覚えており、その訴えてくる様には迫力があります。ゆえに、色褪せることのない史実なのだと、思い知らされる次第です。
シロが命をかけて闘った化け物の怪奇、そして終戦。
【みちくさ怪談朗読】でも、コメントいたしましたが、シロが闘ったのは、戦争という魔物ではないかと思えてきます。結果、命を犠牲にして修一を護ったことは、この時代背景に生きた人々の、心根を映し出したように受け取れました。
シロとの出会いが、修一にとってその後の人生のお守りであってほしいと願わずにはいられません。
『陽炎の家』でも感じたことですが、この作家でなくては語れないものがある、と確信しております。創作でありながら真実に迫り、その文章からは篤実に向き合い、魂への情愛を持った姿勢がうかがえます。
終戦前後に関わらず、通年にわたって読みあたり、想いを馳せてほしいと思わせる作品です。怪奇とはいえ、心に沁みる情念を読ませていただき、ありがとうございました。
追記)月浦氏がSNSにて発表している『呟怖』シリーズでは、「キレのある怪」を楽しむことができ、油断ならない作家として注視している昨今であります。
戦時中の厳しい環境の中、一時の間ではあったが、純粋な絆で結ばれた少年と一匹の犬。
そんな二人?に、あの様な形で恐怖の影が襲い掛かるとは……。
相変わらず読みやすい文章で読み進められました。
時代背景、情景、心理、どの描写もリアルな歯応えを感じられる作品です。
気になるのは怪異の正体ですが、シロも、一体何者なのでしょうかね?
ただの犬……それだけに留まらない何かを感じざるおえません。
戦後、少年は立派な大人になり、この時の話を振り返り何を思うのでしょうかね。
何はともあれ、少年とシロの絆は、その先もずっと続いたのは、確かなようです……。
大変面白かったです、ありがとうございました。
<(_ _٥)>